ほにゃら

自信があるのかと問われれば、そら勿論、あるのだが、決してひけらかしたりはしない。

それに、自信と同じくらいに不安もあり、吐きそうになることもある。反省ばかりしている私だ。あぁ、今日も駄目だった、最悪最悪、と阿呆ほど溜め息をつく。性根が負け犬なのかもしれぬ。実際に何度も負けてきたし、これから先も、死ぬほど負けるのだろう。勝つとか負けるとか、そういうことじゃないのかもしれぬが、それでも負けたような気持ちになるのだから仕方無い。相手は、向こう側からこちらを見ている。

自信満々の人は、良い。だが、それと同時に、クールかつ客観的に己を見る力が必要である。自分は、己が如何に愚鈍な凡夫であるかを理解している。だからこそ、このままではいけない。勉強が足りない。努力が足りない。根性が足りない。才能が足りない。筋肉が足りない。何もかもが足りなさ過ぎて、腹が減る。

寒き夜。ていうか朝。枕に顔をうずめて、唸っている。ぼかぁもう駄目です、何もおもろいことが思い付きません、と何度も弱音を吐く。急に、すん、と立ち上がり、ほにゃらほにゃらと独り言を言って、鼻をほじりながら考える。そうして呟く言葉は、もっと面白いことは無いだろか。

曇天頭の愚かな私にも、信じていることがひとつだけあって、それは浮ついた夢物語。面白いことを続けていれば、そのうちあなたにも会えるかもしれない、ということ。舞台の美しさとは、まさに、その一点にある。どうすれば、あなたが、笑い、驚き、喜び、嫌がり、考え、癒やされて、また笑うのか。


「いつかきっと、きみにも、わかってもらえるさ。いつかそんな日がくる。ぼくら何も間違ってない。もうすぐなんだ」

「いつかきみにも会えるね。嬉しい報せを持っていってあげたいんだ」

「ベイベイするぞ。ぼくのいくじなし」

何もいりません。舞台に来てください。