麺類みな姉妹

うどん、蕎麦、スパゲッティー、ラーメン、自分はどれも大好きで、ほぼ毎日のように麺を食べている。麺類と人類は、いつでも寄り添い合って暮らしている。

自分の中での麺類ナンバーワンは、何と言っても、うどん。そりゃ、うどんです。自分はうどんを愛している。あぁ、白くて柔らかでコシがあり、すべすべとした、うどん。それはまるで、奥ゆかしさと強さを備えた美少女ではないか。美しき娘、うどん。うどんは、底知れぬ美貌を持っているにも関わらず、高飛車では無い。あくまで庶民的なのだ。きつね、天ぷら、カレー、何でも合う。冷たくても、温かくても、うどんはいつも素敵。年中、ぼくらはうどんに恋をする。色白もちもちの肌に、出汁をぶっかけたい。

対する蕎麦は、少しレベルが高いというか、モデル女のような格好良さがある。純日本の伝統的な強さを持つ、侘び寂びの麺である(ワサビも合う)ゆえに、少しばかり緊張を要する。気軽に蕎麦に近付いたら、職人に怒られそうな印象(そばに寄るな、なんてナ)。夏場の、豪快にざる蕎麦をすする幸福感はとてつもない。つゆには、ネギ、ワサビのみで、蕎麦の上にも海苔が少し乗っているだけ。これが蕎麦の魅力である。味気無いなんて、野暮なことを言うな。あくまで蕎麦を楽しむために、蕎麦を食うのである。

素麺も素敵だ。茹で上がりも早く、氷水でしめて、つゆで頂く。素麺は、おぼこい田舎の少女のようである。冷や麦は、都会のJKだ。どちらも好きではあるが、どこか物足りなさを感じる点、やはりうどんには勝てない。

スパゲッティーの魅力は、様々な料理になれる万能なポテンシャルにある。ペペロンチーノ、カルボナーラ、ナポリタン、と、まるで別の料理に変身する。油とニンニクによる欧風の調理法を使うゆえに、バリエーションも豊富である。化粧の濃いイケイケのギャルのようだ。今日は無性にスパゲッティーを食べたい気分、というときがあるが、あれは、無性にギャルAVを見たくなる日と同じようなものである。そして、 どちらも、すっぴんだと、食えたものでは無い。

ラーメン。昔はラーメンが好きで、人気のラーメン屋にわざわざ並んで食ったりもした。だが、今はどうだろう。そこまでして食べたいとは思わなくなった。勿論、ラーメンは好きである。しかし、いわゆるラーメン通の人や重度のラーメンオタクの人たちの熱意には全くついていけない。ラーメンは、アイドルのようではないか。店舗ごとに、凄まじい個性、情熱があり、戦いがある。そして伝統にしがみつくことなく、常に新たな世界へ挑んでいくラーメンに、熱狂的ファンたちが群がる。カップ麺は、いわば簡易に家でも楽しめるアイドルグッズだ。派生して人気を出した、つけ麺、まぜそば、油そば、なども、アイドル界の多方面への広がりと似ている。

最後に、焼き蕎麦である。自分は、焼き蕎麦も大好きで、カップ焼き蕎麦も美味いが、特に家で作る焼き蕎麦、野菜や肉と共に麺を炒めて、最後に粉ソースをかけるやつ、が、この上なく好きである。心が落ち着いて、ソースの香りにはノスタルジックな母性を感じる。家焼き蕎麦は、お母さん、もしくは、おばあちゃん、であろう。

人類みな兄弟ならば、麺類みな姉妹。どの麺類も、愛おしい。

何もいりません。舞台に来てください。