だめ坊

私の普段の行いを見て、シマナカさんはしっかりしてはるから、などと言う人がいるが、あはは、おれのこと何も分かってないよと思う。昔からだめ坊だった私は、大人になった今でも俄然だめ坊であった。ここ最近は特にひどい。こないだの夜の話。自宅にて、ソファに深々と座り、一丁前に煙草に火を付けて何度か味わった後、灰皿に一旦煙草を立て掛けた。少し本を開いて、ふむふむ、目線は本のまま、懐からまた新しい煙草を取り出して火を付ける。そして、ちらと灰皿を見ると、まだ火を付けたばかりの煙草がある。先程の煙草が残っていることを、たった30秒前の出来事を、もう忘れているのだ。ほぇ、と言って、両手に煙草の二本吸いをする。そんなとき、あぁもうおれは終わったのかもしれない、と思う。

寝る前、コンタクトレンズを外して歯を磨こう、と洗面所へ行く。湯で顔をばしゃばしゃ洗って、便所して、布団に戻る。消灯、そこでようやく異変に気付いて、あ、コンタクトやわ。起き上がり、電気を付けて再び洗面所へ行く。コンタクトを外して布団へ戻り、消灯、しばしの暗闇、ん?あ、あ、歯やわ、と気付く。その頃には再び洗面所へ行く気力などあるはずも無く、意識を虚空へ飛ばす。そんなとき、あぁもう死のかな、と思う。だめ坊、もうきみはだめだよ。うん、このまま洗面所へは行かず断崖へ行って、欠伸しながらダイブするよ。

何もいりません。舞台に来てください。