マイナス排除

今後の人生をどう生きていきたいかというと、嫌なことや危ないことやしんどいことを出来るだけ排除して生きていきたい、と切実に思っている。外に出ると、否応無しに嫌な人間にぶち当たることもある。危ない事件に遭遇することも、しんどい作業をしなければならないこともある。そのようなマイナス面を出来るだけ排除する意識を、常に持つ。楽しくなりたい、嬉しくなりたい、喜びたい、などとは決して思わない。あくまで、マイナス排除精神だけを心掛けておけば、いつの間にか自然と楽しい人たちに囲まれて気楽な時間を過ごすことが出来る。

プラスを求めず、マイナスを排除する、という考え方は、混沌とした社会を生き抜く上ではなかなか効果的な手法である。現に自分は店の経営を始める際、儲けることは一切考えず、赤字や借金が出ないようにすることだけを考えていた。すると、自然とハードルが下がるので、儲かりこそしないものの、潰れず、4年も続けることが出来た。

食に関しても、自分は自分の飯にこだわりがあまり無いため、美味いものを食べたい、という気持ちでは無く、不味くないものを食べたい、という気持ちで食べている。これもまた、マイナス排除精神である。お陰であれこれ悩むことも無く、毎日うどんを食べることが出来る。

健康になるのではなく、病気にならないようにする。お洒落をするのではなく、ダサくないものを着るようにする。恋人と愛し合うのではなく、喧嘩しないようにする。勝負に勝つのではなく、負けないようにする。

なるほど。これからは、漫才を演る際も、面白いことをしようなどとは決して思わないようにしよう。面白くないことを排除する精神で演れば良いのだ、と思ったけれど、それはそれで、ちっとも面白くなかった。面白いことは、俄然、求め続けなければならなかった。そして何より、面白くないことも、自分にとっては、非常に魅力的で、面白いことだったのである。

何もいりません。舞台に来てください。