夢遊病のぼくら

大阪万博が5年後に開催されるという。知事や市長は矢鱈と気合いが入っているようだが、自分はちっとも楽しみでは無い。訳のわからぬ金持ちの外国人が街に溢れかえるのかと思うと、やめてくれ、と思う。先日発表された万博のロゴは賛否両論で、自分は阿呆みたいなデザインで良いなと思ったが、かといって万博に賛成しているわけでは無い。ロゴにしても、何だか既視感のある変テコさであり、太陽の塔のような超爆発的な変テコとは比べ物にもならぬ。

コンビニでタピオカミルクティーを買い、飲む。自分は、あれ、結構好きなのだ。太めのストローでタピオカを吸うのだが、ミルクティーを飲み干してもまだタピオカが底に溜まっている。一粒ずつ吸うものの、あれはミルクティーと共に食べるから良いのであって、単体で食べても大して美味しくない。見ると、タピオカ20%増量中!と書いてあった。道理で余るはずである。その分ミルクティーも増量してくれないと割に合わない。

ふと思いつき、ボクシンググローブを買った。12オンスグローブを2セットと、練習用のミットを1つ、我が店に置いてある。これで、いつでもボクシングの練習が出来る。こないだ男性客が来たので二人でシュッシュとやっていた、ところへ女性客が来て、何してるんですか、と言われた。自分は、あなたもどうですか、とグローブを渡して、じゃあお二人で2分間殴り合いましょうか、時間測ります、と言い、無理矢理やらせた。見ず知らずの男女が戸惑いながらも拳を交える姿は、とても良かった。こんな喫茶店、自分ならば行きたくないなと思った。

ここ数日の間、携帯が壊れていた。Wi-Fiがあるのでインターネットには繋がるが、電話が出来なくなってしまった。安物の携帯のため、頻繁に電波障害はあったのだが、ここに来て完全にアウト、また、文字打ちの反応も悪くなっていた。まあええか、と思っていたが、ええことは無かった。先日とある用事に遅刻が確定した自分は、その旨を先方に電話しようとしたが、いくら掛けてもプツッとなり出来なかったのである。そのせいで余計に遅刻した。普段ラインやメールに慣れていると、あまり電話をしなくなる。しかし電話が無いと困ることも多い。何だかんだとあり、新しい携帯を買った。中古であるが、それなりに良いものにした。これで何台目だ。こだわりも何も無いのに、大体1~2年置きに買っている。阿呆なのか。いい加減大切に扱おうと思う。

そんなわけで、国からの給付金も無くなりつつある。使い道は、一人旅とボクシンググローブと携帯、であった。本当は余った金で誰かに何かをプレゼントしたくて、欲しいものがあれば言ってください、と募集もしたのだが、全然誰も何も言ってこなかった。皆これといって欲しいものが無いのかもしれない。自分も、特に無い。

9月はあっという間に終わる気がしている。10月には楽しみが沢山ある。ふにゃふにゃしている場合では無い。夢遊病のぼくらはいつも変な姿勢で、あちこちを行ったり来たり、曖昧なバランスを取りながら、こける寸前で歩いている。暗雲晴れて、にっこり笑うきみの姿を想う。

何もいりません。舞台に来てください。