朝の手紙

おはよう。そちらは朝ですか。もしくは昼かもしれません。こちらは夜です。夜は一段と冷えます。昔から朝が苦手な私は、夜が好きでした。そして、冬が好きです。自分が生まれたとき、きっと外はとても寒かったのだろう、と思うと、より一層、冬が好きになります。つまり、冬の夜、が最も好きなのです。けれども、もう少し、何とかならないものでしょうか。いくら服を重ね着しても、凍えます。あぁ、誰かがまた外で奇声を上げている。

私は大体毎日、朝まで起きていて、日が昇り小鳥がさえずる頃に、ようやく眠る。ですから、もしもあなたが朝起きてこの手紙を読んでいるとすれば、その頃ちょうど私は寝ているというわけです。夢の中で、たとえば森の中で美少女とバード・ウォッチングをしているかもしれない、もしくは暴走族に絡まれて木材を振り回しているかもしれない、もしくはポタージュを食べているかもしれない。何にせよ、あなたが起きる朝に、私は眠るのです。

逆に、今この手紙を書いている深夜四時過ぎ(私にとって四時は夜です)、あなたはおそらく寝ていることでしょう。私がストーブに当たりながら、震えながら、携帯でポチポチと文字を打っている今この瞬間、あなたは夢の中で、たとえば浜辺でカンガルーと戯れているかもしれない、もしくはスパイに追いかけられて高層ビルを飛び降りているかもしれない、もしくはプルコギを食べているかもしれない、というわけです。何にせよ、あなたが布団(もしくはベッド)で、いびきをかきながら、阿呆のような寝顔、大きな口を開けてグースカ寝ている間、私はずっと起きています。そうして、あなたが今まさにどんな夢を見ているのかを想像しては、一人で楽しんでいるのです。とても気持ちの悪いことです。

おはよう。今日はどんな夢を見ましたか?

何もいりません。舞台に来てください。