秘密の花園

誰にでも秘密はあるもので、勿論、自分にも秘密はある。森の奥にある美しい花園には、誰にも言えずひた隠しにしている様々な秘密たちが、ひっそりと埋められているのだ。

たとえばひとつ暴露するが、実は、自分は、都道府県の位置がいまいち分からない。それなりの高校、大学へ行ったにも関わらず、未だに山形県や徳島県の場所を、しっかりと把握していないのである。勿論、東北らへん、四国とかそのへん、くらいのことは分かるのだが、地図を見て、ここ、と指を指せる自信は無い。世界地図など全く分からない。ミャンマーが、パキスタンが、イスラエルが、どこにあるのかなんて、知りたいとも思わない。

暴露ついでにもうひとつ。実は、自分は、陰毛が短い。恥ずかしながら自分は、子供の頃から毛深き猿人間であった。特に、すね毛、尻毛、脇毛などは長く、わさわさで、勿論、陰毛も矢鱈と長かった。あるとき風呂場で思い立って陰毛を剃ってみたところ、非常に清々しいフレキシブルな気持ちになった。以来、時々剃ったり切ったりするようにしていて、基本的には短陰毛である。

これらの秘密はレベル1程度のものなので、暴露したところで大した痛手にもならぬ。だが、秘密はまだまだ保持している。〇〇をして警察署で拇印を押したことがあるとか、〇〇乗車をしたことがあるとか、〇〇を吸ったことがあるとか、女と〇〇で〇〇をしたとか、遅漏であるとか、中にはレベル80くらいのものもあるが、金輪際、誰にも言う気は無い。

他人の秘密も、沢山知っている。〇〇には前科があるとか、〇〇は不倫をしているとか、〇〇は〇〇を〇〇したとか、一般的にどうなのかは知らないが、自分は意外と人から、実はね…、と秘密を打ち明けられることが多い。そして、その都度自分は忠実に秘密を守るようにしている。なぜなら秘密が漏れたとき、その美しさが色褪せてしまうことを知っているからだ。秘密の美しさを大切にしたいと、いつも思っている。ぼくは決して口を割ることは無い。口は固い。だからもう、何にも秘密にするなよ。ぼくにだけこっそり教えてくれ。

何もいりません。舞台に来てください。