恐怖のぬくぬく

コタツを買ってしまった。この冬を乗り越えるために、おれは遂にコタツに手を出した。今までの人生で初めての、コタツのある暮らしなのだが、足先末端冷え性としては嬉しすぎる暖かさである。ただ気を抜くと涎だらだらでそのまま寝てしまうし、コタツから出られない病に罹るので、気を付けている。己を律している。でもぬくぬく、贔屓目に言って最高のヒート天国。冬とか余裕で越えれるっしょ。冬どころか山でも海でも越えれるっしょ。外は風、冷たい街を抜け出して、震えながらの帰宅。コタツがあんぐり口を開けて待ち構えてるぞ。いっせえので飛び込もう。冷凍足を突っ込んで、にっこり笑う。溶けるような笑顔はまるで阿呆だが、それでもじんわり心地良い。で、だから、鍋をしたり、お菓子片手に映画を見たり、ゲームしたり、煙草を吸ったり、していた。永遠に時間が流れゆく。自律神経が破壊されゆく。あっという間にコタツにガジガジ食べられて、両足が失くなった。激痛で逃げ出すことも出来ず、ヒート天国、いや地獄か、それでもコタツは恐怖のぬくぬくを続けている。

何もいりません。舞台に来てください。