エゴイスト

だって多分、誰もが、基本的に自分のことしか考えられない。勿論ある程度のやさしさや、マナー、心遣い、他人への思いやりはあれど、結論、誰もが己のことで頭がいっぱいのエゴイスト。自分が、楽しい、寂しい、嬉しい、悲しい。自分が、出来る、出来ない、行きたい、やりたい、好き、嫌い。自分の、言葉、顔、気持ち。自己嫌悪ゆえの自己愛。いつも自分ばかりで嫌になりません?ううん、すべての基準は自分なんだもん。これは自分が生きている以上、当たり前の話である。

だけど、もしも、自分のことなど二の次で、誰かのために生きることが出来たなら、果たしてそれはどんな感覚なのだろう、と思う。ひょっとすると、かなり素敵なことかもしれぬ。それこそ、愛、って感じがする。子供がいる人なんかは、その辺りの感覚を持っているのかもしれない。だけど簡単ではなくて、やっぱり、どうしても自分のために頑張ってしまう。結局は自分の幸せを願い、自分のやりたいことを、やる。

エゴといえば恋、いわばエゴとエゴのシーソーゲームなんだから、片思いなんて最たるエゴだろう。ちょっとでも相手に気に入られようと思って、飯を奢ったりプレゼントしたりする。そこには何か見返りを求める欲のようなものが必ず存在しており、純愛であれ下心であれ、向こうにすれば知ったこっちゃない。本当は心の中で、ただ惚れてる相手の幸せを願えば良いだけなのに。だけどそんなことは普通の人には出来ない。自分の気持ちが優先で、相手の気持ちを考えられず、で、思い詰めて、フラれて、自分が傷付く。そのとき相手がどれほど傷付いてしまったかなど、全く考えには及ばない。中心にいるのはあくまで自分自身で、欲しがるばかりである。勿論そこが片思い、恋心の切なさであり、楽しいところでもあるのだが、でも、それは全くもって、愛とは言わぬ。愛はもっと…ね。

エゴと対極にあるのが、他者への愛だろう。決してご立派なものでなくて良い。小さな愛で十分だから、私もちゃんと愛を持って生きたいと思う。きみを大切にしたいという気持ちは、確かにあるから。


何もいりません。舞台に来てください。