仲間

自分は、仲間意識、みたいなものが昔から苦手で、流行りのワン・チームなんぞまっぴら御免である。芸人でも、同期の皆で売れような!みたいな阿呆が時折いるが、全くもって共感出来ないどころか、軽蔑さえしている。また、協調性、なるものも欠落しており、パーティー、打ち上げの類は苦手であるし、組体操も、校歌斉唱も、大嫌いである。

ならば貴様は孤高の狼なのか?と言われると、そんなことはまるで無かった。誰かと何かを分かち合わなければ、気が狂いそうなほどに寂しくなるのだ。更に自分は、一人きりでは何も出来ず、誰かに助けてもらって始めて自らの力を発揮するのだった。やはり仲間は大切なのだろうか。けれどもスポ根ドラマのように肩を組み、一致団結して夕陽に向かって走り出すような真似は決してしたくない。ぼくたちズッ友、なんて赤面!決して口走りたくない。ただそこにいるだけの、仲間が良い。協調性も何も要らない。同調圧力を掛けることもしない。おれとお前が、今ちょうど、ここにいるだけ、である。

店をやっていると、お客同士が仲良くなることもある。何度か店に通っていると、またライヴを見に行くと、同じように来ている人がいて(特に我が店は一人きりで来るお客が多い)、狭い空間であるのでそのうち自然と顔も覚えて、あぁ、どうも、なんてことになるのだ。互いの素性はそこまで知らなくても、好みが似ているため、何となく、距離が近付く。そのくらいがちょうど良いではないか。仲間意識を持つと途端に面倒臭いことが起こり得る。

有り難いことに、自分の周りにいる人は、皆どこか自由気ままで、良い意味で他人には無関心、己自身のことで精一杯のようである。自分も同じく、誰かが、おれ抜けるわ、と言えば、まず引き留めることはしない。そうか、寂しくなるけども、まぁお前はお前で頑張れ、と思う。また、誰かが仲間に入りたいと志願すれば、そうか、まぁ、勝手に入れ、と思う。自分の仲間意識とは所詮そんなものである。

何もいりません。舞台に来てください。