10月25日巣鴨散歩、『漫才王+』

今日は昼間に巣鴨をぶらぶら歩いた。初めて行ったけれど、良い下町だった。地蔵通り商店街では子供たちが手作りの仮装で練り歩いていて、それを道行くお婆たちが拍手で見届けており、とげぬき地蔵で坊さんが念仏を唱えると、鰻屋の匂いに犬が吸い込まれて、すがもんという愛らしいカモノハシが郵便ポストに鎮座するのを横目に、自分は赤いパンツを買った。

偶然入った喫茶店は笑けるくらい散らかっていた。ちょっと臭いし、テーブルも当たり前みたいに汚れていた。店主のお爺は気さくな人で、店内に流れているアメリカンポップスを口ずさみながら珈琲を淹れてくれる。運ばれてきた珈琲カップもちょっと濡れていて、ぽつりと雫が垂れる。ずずずと啜ったそのとき、店の奥からピィーーと聞こえて自分は思わず噴いた。店主が笑顔で、鳥飼ってるんだよ、と言い、見せてくれた鳥カゴにはインコが一羽。お客さんいないときはカゴから出してやるんだよ、そこら中糞だらけになるけどね、ハハ。あんまり笑えなかったが、小鳥と仲睦まじい様子は良かった。以前は犬もいたらしい。よく見たら壁にギターがもたれかかっているし、黄ばんだチラシもぺたぺた貼られている。たまに音楽ライヴを催しているそうで、何だか自分の店も数十年経ったらこんな風になっていそうで怖くなった。

夜は中野芸能小劇場で『漫才王+』に呼んで頂いた。20組くらいの芸人が出演してネタをする、東京ではこういうタイプの寄席も多いようだが、我々はあまり出たことが無い。ネタはそれぞれのものだから構わないとしても、オープニングトークが結構ひどかった。だらだらと長時間、お客を笑わそうという意識も無く、内輪のぬるい空気だけが漂っていた。お客を舐めちゃいけない。

何もいりません。舞台に来てください。