待ち合わせ

私は待ち合わせが好きだ。何時にどこそこで、と事前に約束をして、誰かと会う。たとえば駅の改札で所在なさげに棒立ちのまま、もう少しで来るかな、迷ってないかな、などと思いながら、待つ。ポケットに手を入れて足を交差させたり、また携帯で時刻を確認してキョロキョロしたり、改札の向こうの人波を見つめたり、する時間。そうした不安と期待の入り混じった頭で相手をただ想う時間が好きなのである。とはいえ、大抵は逆の立場で、ルーズな私が遅刻して相手を待たすことも多い。この場合は、改札に向かって早歩きをしながら、やはり不安と期待の入り混じった頭で、どこにいるかな、と相手を探す。そうして相手と出会った瞬間の、あっ、あっ、という目線同士、片手を挙げて、ごめんごめん、おうー、なんて言い合って、共に歩き出す瞬間。相手にもよるが、女性ならばやや緊張して、男性ならばやや気恥ずかしくなりつつ、久しぶりやな、とか、今日ちょっと冷えますね、といった何気ない会話を交わし始めるときが、楽しい。待ち合わせで出会えたら、もうそれだけで嬉しいのである。


何もいりません。舞台に来てください。