開店

5年前、最初に自分で店を始めたとき、開店初日は朝から気合いを入れてカレーを10人前ほど作った。が、結局その日来たお客さんは、3人だけであった。昼間に火災保険のおばはんが来てぺちゃくちゃと喋り倒し、夕方には近所の爺が杖をついてやって来た。夜、もう閉めようかという頃に、昔から馴染みの、ライヴのお客さんが自転車で来てくれた。未だに鮮明に覚えている。お客さんはたったの3人だったが、一日を終えると猛烈に疲れが来て、自分は余ったカレーを食いまくった。

5年ぶりの開店初日は、火災保険のおばはんも、杖の爺も、自転車の人も、来なかったが、沢山作ったカレーは売り切れた。

開店3日目には一発目のライヴをした。『ナイトオブコメディー・スターティングオーバー』という長ったらしいタイトルは、気に入っている。ジョン・レノンのお陰で、無事に(無事だったのか?)終えることが出来て、精神肉体ともに疲れ果てた自分は、喫茶もライヴもやっぱおもろいな、と一人笑い、とりあえずは一安心。そろそろ元の泥亀に戻ろうか。

何もいりません。舞台に来てください。