曲作り「ひみつ」

皆さんは作曲するとき、どうやりますか。ギターやピアノをつま弾いて作る人もいれば、紙とペンで頭を悩ませながら作る人もいるだろう。最近はパソコンでカタカタと作る人が多いのかもしれない。それとも、曲なんか作ったことないわ!こちとらしがないサラリーマンじゃい!という人が大半か。だったら一度作ってみれば良い。難しいことではないし、自作の歌を歌うことはとても楽しいから。私は最近バンド活動をしていて、そのため色々な歌を作っている。今回はその曲作りについて教えてあげよう。教えてあげるよ!これであなたも、あなただけの歌が歌えるようになります。

バンドで演っている「ひみつ」という歌は、去年のある日、散歩しているときに作った。普段私は散歩中、大体マスクの下でふんふんと鼻歌を歌いながら歩いている。陽気な鼻歌というよりかは、陰気な独り言に近い。その日は夕方から一人で船場あたりをぶらついていた。暑くも寒くもなかったような気がする。ふと、遠くに住む人から、今日の月はとても大きいから見てください、と連絡が来て、空を見上げたのだが、ビルが多くてちっとも月が見えぬ。車が沢山走っていて、騒がしいなと思った。月を求めてうろつき、結局大阪城公園まで行って、すると堀の向こう、夜のライトアップがされた城の真上に真ん丸な満月が浮かんでいるのを見た。とても美しかったのを覚えている。この道中に「教えて欲しいな きみのひみつを」という鼻歌をしたのが始まりである。

何故そんな言葉を歌ったのかは分からぬが、きっと秘密というものについて常々考えていたから、浮かんだのだと思う。我々誰しも秘密を持っていて、他人に何らかを隠している。好きな人にはバレたくない不細工な寝顔とか、そういうのも含めて、色々な秘密があるはずだ。他の人が知らないこと、何かひとつだけでも教えてや、と、そういう歌だろうか。

そうしてフレーズとメロディーが浮かんだら、スマホの録音アプリでメモをしておく。こんな鼻歌は次の瞬間に忘れてしまうので、歩きながらにでも録っておくことが肝心だ。ちなみに漫才のアイデアなども、急に浮かんだときはスマホにテキストメモをするようにしている。不意に浮かんだ言葉とか、何でも。そういうことは皆もやっているのだろうか。

大したものでは無いし、妙に辛気臭いが、自分としては何となくピエロがピアノを弾きながら歌っているようなイメージが浮かんでいた。サビっぽい感じがしたので、他の部分も鼻歌してみる。意味などはあまり考えなくて良い。前後の繋がりも無くて良い。このときは何故か言葉が色々と浮かんだ。人気の無い夜の大阪城公園でぶつぶつとやっているうちに、メロディーも同じく浮かぶ。

後日、ギターで伴奏をつけながらコード進行を決める。ベタな流れなので、そこまで難しいものではない。たとえばサビに関してはカノン進行に近い。ただ、そのままバンドで演るにはつまらないかなと思ったので、サビを転調させることにした。試しにkeyEで始まり、そしてサビ前にB→A→G#→F#と落としていき、サビをkeyBにして歌ってみたのがメモしてある。

結局、バンドで演る際にはkeyを3つ上げて、Gに変えた。転調のやり方も、サビ前にD→D#→F→Gと繋げてkeyCにすることにした。こうするだけで少しサビが華やかになる。この辺りは小手先の技術で、楽器をやらぬ人にはちんぷんかんぷんかもしれぬ。テンポ感は、フォークソングみたいにするより、マーチのような雰囲気でダンダンダンと、そしてギターはクリーンな音が良いなと思った。あまり暗い雰囲気の歌は演りたくない。全体の歌詞も決めたら、もう大体出来上がる。ちなみにギターソロも、初めは鼻歌で何となく作り、それに合う音をギターで探していった。そんな感じで、ひとまずバンドの練習用デモ音源を一人で作る。ギターを録音して、ベースは持っていないのでギターの6弦あたりを弾いて編集時にピッチを下げて低音に、ドラムはフリーソフトの簡易な打ち込みで作り、歌を録る。これはバンドの皆に、こんな曲作りました、次のライヴで演りますから各自練習しといてください、と送る用のもの。

どうですか?あなたも作れそうですか?プロの人は曲先とか詞先とか、色々あるそうだ。私もどちらかというと曲先だが、やっぱり一番は鼻歌。コード進行がどうとかは別に良いので、とにかく鼻歌から作れるということを言いたかったのです。甲本ヒロトも楽器なんて大して出来なくて、「リンダリンダ」は鼻歌で作ったそうだ。なので、何でも良いから、もしあなたの歌が作れたら、そのときは是非私に聞かせてくれ。場合によってはバンドで演るので。ちなみにこの「ひみつ」はライヴでも演ったが全然上手く演奏出来なかった。では最後に、こないだバンドで録音したものが完成したので、お聴きください。
※編集し直しました(2023.8月)↓


何もいりません。舞台に来てください。