喫茶茶考

阿波座駅前、立売堀にある喫茶茶考は昔ながらの純喫茶で、自分は週一回のアルバイト終わりによく行く。店の名前が良い。喫茶店というものは、居心地や珈琲の味は勿論だが、店の名前も同じくらいに大切なのである。たとえ珈琲が美味い店でも、名前が「cafe&bar Take It Easy !」ならば、別に良いけどすすんで行く気はしない。

表の看板には、劇画のようなガビガビの文字で茶考と書かれてある。何と読むのが分からぬが、自分は「ちゃこう」と呼んでいる。ちなみに、阿波座は「あわざ」と読む。立売堀(何だか売春婦が立ちんぼしていそうな地名であるが、至って普通の街である)は何と読むか、知っているだろうか。自分は最近まで「たてうりぼり」だと思っていた。

茶考は自家焙煎の店で、様々な国の豆を扱っていて、日替わり珈琲もある。私の持論として、日替わりをやっている店の珈琲は大体美味い。後はトーストやケーキなどがある。落ち着いたクラシックが流れる店内は、チョコレート色の木のテーブルが並び、棚には手挽きのミルが幾つも飾られている。

自分はいつも日替わり珈琲を頼む。そうすると店員が「今日の日替わりはコロンビアです。浅煎り中煎り深煎りと選べますが」などと言う。自分は大抵、深煎りを頼む。マスターがカウンターで量りを使いながら豆を選び丁寧に淹れてくれる。常連客ともなると「ブラジルの深煎り、それとバタートーストの、耳無し、バター多めで」などと注文している。いつかそんな渋い注文をしてみたい。勿論、煙草も吸える。こうした良質な喫茶店に時折行って、珈琲啜りながら、ぷかぷかと考えごとをするのも良い。皆も茶考しようぜ。

何もいりません。舞台に来てください。