あの娘は悩みがちだから、いつでもコダックのように頭を抱えて、ああでもないこうでもない、うう、と独り言を言いながら、じっとしている。ご飯が出来たよ、さあ食べなさい、と声を掛けても、変わらず頭を抱えて、そうじゃないんだこうじゃないんだ、だけど、しかし、けれども、ハウエバー、などと呟き、むしゃくしゃむしゃくしゃと頭を掻きむしる。その姿があまりに可愛いかったので、こっそり尻を触らせてもらったが、気が付かなかったようだ。あれはこれでそれはどれだここはそこのどこのなにがどんな…、などと言うばかりで、あの娘は、ずっと何かを探しながら思い悩む。そうして一人ぼっちで苦しそうにしている。その悩みが、その辛さが、私には理解出来ない。一体、何がそれほどあの娘を苦しめるというのか。

新しい世界。ぼくのわたしのニューワールド。砂嵐の中、巨大な門がそびえ立っている。門の向こう側がどうなっているのかは見えない。まったく困った話だ。見えないものや分からないことが多すぎて、我々、こうして立ち往生している。けれども、そろそろ、いい加減、門を開けなければならないという。じゃあそろそろ行こうか、と言って歩き出した。…あれ?ちょっと待ってな、おかしいな、ちょっと、一回ストップで。ポケットを探りながら、あれ?あっれー?と照れ笑いを浮かべた。鍵を落としたのである。鍵が無ければ門を開けることは出来ぬ。そうして我々は、来た道を結局また戻るのだ。

何もいりません。舞台に来てください。