スキップの準備

この流行り病のせいで疲れた人たちは沢山いるだろう。自分はというと、新たな試みをしながら自粛期間を楽しんだ。ぴぃぴぃ口笛吹いて、まったく呑気なものである。

どこにも属さない自由の身で良かった。そして、今までやってきた沢山のしょうもないことを、ここにきて上手く活かすことが出来て良かった。そんなに辛く無いし、もう少しくらいは平気だと思う。会えぬ辛さはあるけれど、代わりに会う楽しみが増えた。お金も、さほど苦しくは無い。サ店も銭湯も寿司屋も行かなくなったので、むしろ使わずに済んでいる。首の痛みと止まらない鼻水だけが億劫だ。

我が店、ライヴ喫茶 亀も、何とかなる(多分ネ)。自分は金に執着が無い分、金が無くても大慌てしない。そもそもが、家賃も安い貧相な店である。…む、経営や金の話はつまらぬので、やめておこう。それよりプリンの話でもしようか。セブンイレブンで売られている、きみのプリン、という名のプリン、これがなかなか美味くて、と言っても勿論コンビニレベルではあるのだが、その洒落た名称も相まって、時折買ってはパクついていた所、こないだ新たな商品が並んでいて、それは、きみだけのプリン、という名の、従来からバージョンアップされたもの、それを食べて私は初めて気が付くのであった、あ、黄身か。普段の自分は、このような愚鈍ボーイである。今日風呂に入ったかどうか、寝る前に、あれ?どっち?と、分からなくなるような男である。こんな奴が店の経営など出来るのかとお思いかもしれぬ。実際、大丈夫なん?また潰れるの?などといった、無責任な心配もされた。しかし、わたしは経営者だ。意外と裏ではキッチリやっている(エラいだろっ)。

さて、鬱屈なる時代は終わりそうに無い。鬱屈の力恐るべし、と思う。この度、人々のさまざまな考えや動き、言葉、によって、その人の心が浮き彫りになった。

(中略)

発狂の世間に飲み込まれながら、さて、何をする。あなたの大切は何ですか。何のために、この文章を読んでいるのですか。何も無いですか。今一度、超個人的な気持ちで己と向き合ってみれば良い。自分の場合、誰かのマトモぶった言葉よりも、きみの柔らかで可愛らしい言葉の方が、響く。そちらの方が、断然パワーを感じるのだ。

夏が来て、秋が来て、我々は少しずつ曖昧な日常を取り戻す。いつかの誰かの悲しみを、静かに忘れて、友達と遊んだり、恋人といやらしいことをしたり、また、楽しいものを見て、阿呆みたいに笑ったりするのだろう。

だから自分は、もっとあなたを楽しませようと心に決めた。こんなもんじゃないから、覚悟しとけよ、と言いたい。もう滅茶苦茶にあなたの心を刺激させて、満たしてやろうと思う。いつまでそこに座っているつもりだ。スキップの準備は出来ているか。今までならば、放っておくヨ、さらば、と駆け出すところであるが、今は違う。何度でも手を差し伸べる。ほら。

何もいりません。舞台に来てください。