闊歩の年

「倒れないようにケーキを持ち運ぶとき人間はわずかに天使」という短歌を教えてくれたきみは、実際ひとりで年の瀬に、倒れないようにケーキを持ち運んでいた。きっと凛としながら歩いていたに違いない。大切な帰り道に一体どんなことを考えていたのだろう。年が明けても固いキャップは未だ開けられず、鼻水垂らした龍の子太郎は炬燵でこつこつ思い出す。初夢は忘れたけれど、確かそんなに悪いものではなかった。色々なことが頭から消えていくような感覚。白い吐息、白い煙、覚えておきたい言葉たち。何年経っても色褪せない、特別な、エメラルド。

世間で悲しい出来事が起きると、やっぱりちょっと考えてしまう。テレビをだらだら見ながら飯食って、正月はとにかく食べちゃうから必ず皆太る。皆でデブってぱんぱんになって、よく晴れた公園をにこにこ闊歩したい。今年のテーマは闊歩だ!

何もいりません。舞台に来てください。