スマート珈琲店、イノダコーヒ、喫茶萱島

こないだ京都で友達と喫茶店のはしごをした。松本隆の本のあとがきに、京都のおすすめの喫茶店について書かれてあるのを頼りに、巡った。どの店も京阪三条駅から徒歩で行ける場所にある。

まず初めは、寺町にあるスマート珈琲店。店内に入るなり自家焙煎した珈琲豆の香りが漂う。二階席で珈琲と名物のプリンを注文した。松本隆曰く、ここのプリンは異常に美味い、らしい。ずっしりとした昔ながらのプリンは、確かに美味かった。

お次は、堺町にあるイノダコーヒー本店。高田渡のコーヒーブルースという歌にも出てくる老舗の人気サ店である。店内は広く、庭のテラス席もあり、渡り廊下を挟んだ向こうには別室のようなものもあり、また、その廊下には鳥籠が三つあって、インコが一羽ずつ飼われていた。青いミックスジュースを頼んだが、少しシロップが甘ったるく感じた。

最後は、駅近くの喫茶萱島。ビルの何階かにあり、クラシック流れる上品な店内、うち来れば確実に美味い珈琲が飲めますよ、とでも言いたげな雰囲気であった。座席は非常に広々としていてくつろげる。ここでは、ぺちゃくちゃ会話など出来まい。美味い珈琲を静かに味わうには持ってこいの店である。カレーも頼んだのだが、これも滅茶苦茶に美味かった。

そうして店を出て、夕暮れの鴨川を少し歩き、じゃあ、と友達と別れて、大阪へ帰った。京都まで行って、喫茶店を三つ周って、帰る。交通費含めて、おそらく、六千円ほど費やした。贅沢なる休日であった。京都には、こうしたいわゆる洒落た喫茶店が多くあるのだろう。だが、大阪の土着的なボロい純喫茶(喫煙可)で、新聞広げて煙草を吸う爺を観察したり近所のおばはんの井戸端会議を聞きながら飲む珈琲も、やはり良い。本当は、珈琲の味も、店内の洒落さも、どうでも良くて、そのときの気分にあった店ならば、それだけで十分なのである。

何もいりません。舞台に来てください。