5月2日は敬愛する忌野清志郎の命日で、我が店ライヴ喫茶 亀では毎年「喫茶忌野」と題してひっそりとイベントを開催しているのだが、今年は私の体調不良で休んだ。次の日3日は梅田グランフロント無印良品で昼夕と二部公演のおもしろライヴ出演だったが、こちらも私のみ昼公演はお休みさせて頂き、夕方公演だけ出演した。4日は紅鶴で「ヤバメンツオブザピーポー50回記念公演」だったが、こちらも漫才のみ出演して、そそくさと私のみ帰らせてもらった。全て己の体調の悪さ故のことである。色んな人に申し訳無かった。

普段からしんどいだるいと口癖の私であるが、舞台を休むことは滅多に無いのだ。何だかんだ舞台には必ず立つようにしていたし、立ったら立ったで何とかなってきたのだが、今回ばかりはちょっと、マジ無理、勘弁小太郎のふらふらボーイだった。これも歳なのだと思う。私は実は免疫が強くて、コロナにも罹ったことが無く、熱が出ても大体一日寝れば治るような人間なのだ。

結局何の病気だったのか、単なる風邪か、疲労の積み重ねだったのかは分からない。祝日で病院もやっていないし、救急車を呼ぶほどでもない。思えば先月末辺りから体調は怪しかった。丸一日やることがあり、たとえば昼からYouTube撮影して、夜ライヴして、その後深夜までバンドの練習して、車でメンバーを送迎して、帰宅したら明け方、次の日も昼から店へ行き…みたいなのが続いて、不眠と疲労は溜まっていたと思う。5月1日は天気も悪くやけに肌寒い日で、そんなことを知らぬ私は傘も持たず薄着で外出したのだが、雨に濡れたのもあり矢鱈と身体が震えたのを覚えている。とにかくその晩に熱を出してダウンした。

2日の朝、悪寒で熱を計ると38.5度あったので「喫茶忌野」は休むことにした。咳は出ないし吐き気も無い。ただ、首の片側が矢鱈と痛くて全身の関節も痛んだ。食欲はあるが性欲は無い。念の為自宅にあった検査キットで調べるとコロナもインフルエンザも陰性であった。薬を飲んで一日療養したが夜になっても熱が下がらないので、次の日の「無印ライヴ」が心配になり、一応相方と、イベントを管理してくれているにぼしいわしのいわしに現状を伝えた。念の為、リアルタイムで電話には出られるようにしとくから現地で相方から掛けてもらって電話越しに漫才するか…と企んでいると、いわしから連絡が来て、一部はにぼしと寺田さんで漫才してもらって嶋仲さんは二部から出るのはどうですかと言ってくれた。そのアイデアを聞いた自分は、おもろそう、と思ってしまった。そして途端に、昼までゆっくり休める!と思って、ぐっすり寝た。

3日は少し熱は下がって37度程だったが、相変わらず喉はぱんぱんに腫れて頭はくらくらしていた。午後から梅田へ行き、無印ライヴ第二部のみ出演して、女装してかくれんぼしたり、店内のラジオもやらせてもらった。楽しかった。会う人会う人に心配されて、何かスンマセンと思った。帰宅してメイクを落としシャワーを浴びて布団に入ると、身体がぶるぶると震えてきて頭がぐわんぐわんした。全く眠れず夜中に起きて体温を計ると、チーン、38.5度とぶりかえしている。無印ではしゃぎすぎたのだ。

4日、この日は昼に亀で場所貸しのライヴがあり、私は店長兼受付音響スタッフとして務めなければならぬ。暑い日差しの中をマスクで歩いて行って、汗をかきながらPA卓をいじり、夕方に一旦帰った。今も実はあまり記憶が無いのだが、よくミスもせず音響や照明をやったと思う。再び布団に入り眠ると病のタレでとろとろになり、ギィーギィーしながら目を覚ました。「ヤバメンツ」も休もうかと思った。自分は日頃色んな忙しそうな人に、無理はしちゃいけない、もっと休んだほうが良い、と言っている。それなのに自分の番になると、何かちょっとすぐに休むのが勿体無いような気持ちになってしまう。だが身体はぴぃ~状態であったので、相方と村橋ステムに、漫才だけして帰らせてください、と連絡して、夜、味園ビルへ行き漫才だけして帰宅した。声は全然出なかったし、間もぐずぐずで、矢鱈と汗が吹き出した。体調が滅茶苦茶悪い奴が体調悪いと言いながら演る漫才なんてあまり他所のライヴでは見られないと思うので希少だったと思う。

次の日、5日は深夜~早朝にかけて亀で相方と虹の黄昏野沢さんの三人で爆裂配信「おっはー喫茶」をやる予定だったが、こちらは即辞退させてもらった。野沢さんが大阪滞在の宿代浮かしに配信で朝までぶちかまそうと計画したノリだけの企画だったし、流石に夜通し酒飲み暴れたら死ぬと思った。朝から一日療養に務めた。夕方頃にはかなり回復もして、熱も下がり、漫画も読めたし散歩もしたしタケノコも食べた。何度も寝て、悪夢を見て、また寝て、シュール夢を見て、明け方にぱっちりと目が覚めた。そういえば「おっはー喫茶」はどうなったかなとスマホで見れば、画面の向こう側はまるで悲惨な光景が広がっていた。相方は椅子を並べて画面遠くで眠り、野沢さんの姿は無く、ギターの音色がちゃかちゃかとだけ聞こえる。どう見ても地獄のような配信が垂れ流されていた。おそらく野沢さんは配信の切り方すら知らないので、相方が目覚めるまでこれが続くのかと思うと、ちょっと見てられなかった。急いで着替えてチャリで亀へ向かう。店の扉を開けると野沢さんが、オーー!と迎えてくれて、相方も起きて、三人でおっはーした。行って良かった。

これでまたもし発熱がぶり返したら、もう頭ごと切り落とそうかなと思ったが、次の日も元気だったので新しい冷蔵庫を買いに行った。

何もいりません。舞台に来てください。