キュートで可笑しく愛おしい

可愛い女性を見ると、何故これほどまでに可愛いのだろうかと思い、頭が混乱する。おそらく自分は非常にチョロいので、女性のほんの些細な仕草や言葉に、すぐドキッとしてしまう。女性という生き物は、戦略なのか天然なのか分からぬが、随所に可愛さを秘めており、年齢や容姿など関係無く、ふとした拍子に可愛さが現れる瞬間が幾つもある。たとえばご飯を、うまそー、なんて言って食べる姿や、ぱちりお化粧おめかしの姿、本を読む横顔や頬杖をつく姿、ペンで何か書いている姿、ケラケラ笑う姿、ぶ!と拗ねる姿、寂しくて甘える姿、全身のけ反り驚く姿、涙を堪える姿、その他、思わず出た一言や日常の仕草など、…数え切れぬ。そのたびに自分は、あ、今の可愛い、と思ってしまう。その晩は布団の中で、あぁ、それにしてもあれは可愛いかったな、と噛み締めながら反芻する。思う対象は、総じて女性である。時折、男でも可愛い人はいるのだが、子供以外では滅多に思うことは無い。

直接的に、あなた可愛いですね、などとは、あまり言わない。性的な意味合いに取られてセクハラになったり、また、可愛いと言われることが、舐められている、下に見られている、といった風に感じて嫌悪を抱く女性もいるようなので、我慢している。自分からすれば、可愛い、は褒め言葉以外の何者でも無く、下に見るどころか、尊敬の念を込めた愛の言葉に違いない。

「女はみんな可愛いから好きだ」こういうことを書くと一部の女性が発狂したりするので訳が分からぬ。女性の持つ独特の可愛さは、決して愚鈍な男には持ち得ない。男が傘をさしていても何とも思わないが、女性が傘をさすだけで可愛く映るのは何故だろう。それは魔法のような、キュートで可笑しく愛おしいものである。

女性は女性で、すぐに可愛いという言葉を使う。お花や子犬や素麺やレースカーテンを見ると、反射的に、あ、可愛い、と言う。その言葉の軽さが良い。空の雲を指差して、あの雲カワイイ、と言っているきみが可愛い。

かくいう自分も、時折人に、可愛い、と言われることがある。33歳、白髪多めの貧弱な男を指して可愛いとは何事だ。ぶた扱いされているだけかもしれぬが、本人は嬉しそうにピースしているのだから、どうしようも無い。ただ自分の場合、キモい、と言われてもキュンとするくらいだから、何でも良いのかもしれぬ。が、やはり、可愛い、と言われると嬉しい。可愛い人に可愛いと言われたら、なお嬉しい。あくまで33歳のいち男性として、もっと可愛くなりたいと願っている。

何もいりません。舞台に来てください。