9月7日『阿佐ヶ谷で殴り合おう』

元々賞レースやバトルライヴなどがあまり好きでなく、見るのも出るのもちょっと苦手で、なぜなら笑いというものはあくまで主観的かつ曖昧な芸だと思っているので、競ったり勝敗を付けることに気乗りしない、だから主催ライヴでもそうした意図のものは企画したことが無かった。勿論バトルライヴ特有の、そこでしか味わえないドキドキや感動もあり、芸人の競う姿を見たいというお客の気持ちも分からなくはない。今回は色々訳あって阿佐ヶ谷で主催をやることになり、どうせなら普段はやらぬようなことをしようと思って、おそらく初めてバトルライヴを企画した。それも、一対一で勝ち残りシステムの、事前に最大6つはネタを用意しなければいけないという、ガチガチにストイックなライヴだ。北海道へ行ったりこんなライヴを企画したりして、勝手に大変な頭になって、多分どこかマゾなのだと思う。笑いのライヴでは、負けた側にもちゃんとスポットが当たるので、そこが堪らなく愛おしい。結局は演者とお客で、緊張感も楽しさもその場で作り出していく感覚である。

出演者は、我々の他、大陸、忘れる。、加藤ミリガン、日本クレール、イチゴ、そしてMCに耕しの二人という、今の東京ライヴシーンで確実に面白い人たち、かつ戦ってみたい相手を呼んだ(イチゴのみ、私は未見の、謎の若手コンビだった)。

総合結果は書かないが、我々に関してはあっさりと敗北した。「忘れる。」の強烈な漫才に全く太刀打ち出来なかった。何というか、彼らの漫才には圧倒的にねじ伏せる勢いがあって、近々M-1の決勝でも見られると思う。とにかく負けて、他にもやりたいやつがあったので、悔しかった。舞台上でおちゃらけることも無く普通に悔しい顔をしてしまって、恥ずかしい。こういうとき、ライヴの空気というか、流れを作った奴は強い。お客を味方につける強さ、また見たいと思わせる魅力を持っている人(今回は忘れる。がそうだった)に、自分のような人間は果たしてどうすれば勝てるのか。

たまにはこういうバトルライヴも良いなと思った。主催としてはお腹いっぱいの満足いくものになったので嬉しく、演者としては悔しい…、そんなライヴでした。またいつか東京で、第2回を開催しようと思います。今回のライヴはアーカイブ配信として、そのうち映像販売するので、気になる人は是非!

何もいりません。舞台に来てください。