構成の美

自分は数々のライヴを主催してきたが、あまり長丁場のものは好みで無い。企画ライヴでも単独ライヴでも、理想は60分~90分の、スカッと終わるものが良い。これは観客の身になるとよく分かる。長時間のライヴは、まず椅子に座り続けなければならないため、尻が痛む。舞台でだらだらとつまらないことをされると、頭痛もしてきて、吐き気も催す。60分程度ならば、多少つまらなくとも何か収穫はあるかもしれないし、面白いライヴならば少し物足りないかもしれぬが、また見に行きたいという気持ちになり、悪いものではない。

さて、先日行った、自分が主催のライヴ「ルンルン・ショウ」は、休憩含めて2時間のライヴを企画していた。普段のライヴと比べると、やや長編の催しである。勿論、自分は事前に、出来るだけ観客を飽きさせないよう、また、疲れはするが吐き気はしないような企画構成を練り上げた上、タイムスケジュールを組み立てて、入念なリハーサルも行っていた。

しかし当日、蓋を開けると予定が大幅に狂ってしまい、時間は押して、結果、3時間半ほどのライヴになってしまった。あまりの長丁場に、観客の大半が痔などの尻病に掛かり、また、客席からは罵倒とともに空瓶が投げられて、窓は割れて電球は落ちた。舞台上はガラス破片とゲロの地獄となり、出演者たちは全員痴呆ゾンビと化して、更にはどこから入ってきたのか、一匹の汚い野良犬が舞台の隅っこで欠伸しながら小便、という惨状であった。そんな中、一体自分は何をしていたのかと言うと、非常にルンルンしていた。笑っていたのである。

なぜそこまで時間が押したのかというと、それは、完全に自分のせいであった。自己満足的にやりたいことを詰め込みすぎた結果、いざ舞台に上がると舞い上がり(言葉が似てるネ)、何だか楽しくなっちゃって、ルンルンしちゃって、一人で喋り過ぎたことが原因である。少し反省はしたが、ちっとも後悔していないのでタチが悪い。こういうのもたまには良いんじゃね、と開き直る始末だった。

ライヴを構成するには、非常に頭が要る。具体的なイメージが必要で、全体を上手く構成することが、ライヴを成功させる第一歩である。映画にしろ文学にしろ、素晴らしい作品というものは、もれなく構成が美しい。漫才でも、構成が上手くハマれば単純なものでも笑いに変えることが出来る。構成の美、というものが不可欠なのだろう。その辺りを上手くやれるようになりたい。そして、これからも素敵なライヴを主催していきたいと思っている。

何もいりません。舞台に来てください。