しっぽ

秋なのだろうか。それにしては少し不穏な感じがするのは低気圧のせいかもしれない。少し前まで舞台続きでちょっと疲れたが、お休みとなるとそれはそれでしんどい。細かいやるべきこと…、たとえば粗大ゴミで不要なものを捨てるとか、銀行の振り込み手続きであるとか、遺産を貰うために役所で印鑑証明を貰うとか、ギターの修理とか、その辺りのタスクを片付けなければならない。スイカゲームをやっている場合ではない。鼻詰まりのせいもあり、日々何となくぼんやりしていて、時間がたらたらと過ぎていく。

行きたい場所は色々とあって、たとえば熱海。湯に浸かったり海を見たり饅頭を食べたり、したい。秘宝館にも行ってみたい。熱海自体は一度東京からの帰りに立ち寄ったことがある。電車の時間があったのであまりゆっくりは出来なかった。熱海、やはり、名前が良い。クレヨンしんちゃんの名作「ヤキニクロード」の舞台でもある。しんちゃんが自転車で爆走した坂道、みさえがバタフライで泳いできた波止場、本当にあるのかな。熱海旅行というのは、ひとつの憧れであります。車でビューンと行っちゃいたい。2泊くらいして。

そんなことを想いながら自分はまた珈琲を飲む。まったく、一日に何杯飲むつもりなのだろうか。喫茶店の珈琲は勿論、自分でドリップして淹れた珈琲も、市販のアイス珈琲も、甘い缶珈琲も飲む。暇さえあれば珈琲を飲んでいる。口の中が真っ黒になってしまう。多分れっきとした中毒者、分かっちゃいるけどやめられない、ってまた珈琲を啜る。遠く東の方を見つめながら。あんまり呆けていると、しっぽが飛び出て、そしたら…。

探偵たちがぼくらのことを見事な名推理で見つけて、ぼくのしっぽはあっけなく捕らわれた。何だか照れ臭くて変な汗も出た。探偵たちのひそひそ話を想像すると、何だかとても愉快な感じがして、良かった。きっと楽しい会話が繰り広げられていたのだろう。何かを想像すること、何かを推理すること、自分も好きだからついついやってしまう。時折は悪い想像もしてしまうけれど、出来ればハッピーな想像で笑い合いたい。


何もいりません。舞台に来てください。