押し黙る

ぱらぱらと散り積もる桜の花びらに埋もれた天使が、すやすやと寝息を立てている。薄ピンクのその花びらを、私は一枚ずつ数えている。

何か素敵な言葉を贈ろうと思った。けれども結局出てくる言葉は、他愛も無い文句ばかりで、本当はもう少しロマンチックな洒落でも綴りたいのだが、仕方あるまい。後になってから、あ~、なんて言っている。奥歯がずっと痛い!

今日は友達と音楽のライヴを見に行った。梅田のライヴハウスは、感染対策のために観客は一定の距離を保って立たされる。床には場ミリが施されていて、各自その位置に立っていなければならない。ロックバンドがロックをかき鳴らしていたが、客席から歓声や怒号が聞こえることも無く、皆、あくまで無言で拳を突き上げて、身体を揺らし、拍手を送る。それは、美しい光景だった。

帰宅したら、うなだれて、何もかも面倒になって、押し黙る。結局何もしないまま夜が来て、真夜中、こっそり妄想ばかりしている。また、きみを脱がせてしまった。性欲なんて無ければ良いのに。

何もいりません。舞台に来てください。