年明けに我が店が取り壊しになるので、荷物をまとめて運び出さなければならない。大きなものでいうと、舞台、椅子、机、冷蔵庫、棚、スピーカー、音響機材…。運び出す場所は自宅しか無い。大して広い部屋でも無いので、とんでもないことになりそうである。

とりあえず細かいものをまとめようと、引っ越しのように段ボールで梱包作業、店内を総ざらいしたのだが、本、紙類、照明器具、皿、グラス、鍋、フライパン、レジ、プロジェクター、ケーブル、幕、時計、鏡、黒板、ボードゲーム、写真、文具、麻雀牌、誰かに貰った絵、葉書、工具、筆、服、小道具、ヅラ、人形、座布団、箸、板、布、紐…、と、次から次へと出てくる。一向に終わる気配が無いので、自分はとりあえずソファで寝た。

夕方、馴染みの知り合い(Tづら、K太、Yさん)が手伝いに来てくれて、物が多すぎてどうにもならんです、と状況を伝えると、きみは物を捨てられないタイプだな、と言われた。皆が言うには、仕分け作業を見る限り、要るもの、要らないもの、のラインがどうにも甘い、基本的に要るものに仕分けてしまっている、引っ越しの際に最も大切なのは、如何に物を捨てるか、であり、残すか、ではない、きみは完全にゴミ屋敷の住人予備軍、まずは自宅の物を捨てまくる、更に店の物も捨てまくる、それが先決、とのことだった。

現に、自分の部屋には物が多い。使っていない布団だけで6枚もある。捨てれば良いのだが、誰かが泊まりに来たときに要るかもしれないと思って、置いてあるのだ。後は、たとえば本。自分は本というものを、今まで捨てたことが無い(売ったことはある)。これは本への愛情というより、何となく本を捨てると著者に呪われそうな気がして、なかなか捨て辛いのである(写真も同じく)。雑誌ならば何度か捨てたことがあるが、それでも未だに実家には、中学の頃毎週買っていたヤングマガジンが100冊近くあるし、また本だけでなく、服も、去年初めて大量に処分したのだが、それまでは中学高校の頃に着ていたシャツやカーディガンなどが当たり前のように積んであった。人から貰った手紙や写真の類は勿論、ノート、メモ書き、チラシ(こちらも処分した)なども散乱している。

これを機に思い切って捨てよう、と決意した自分は、ガンガン仕分けをして、必要最低限の物をとりあえず車で自宅まで運んだ。結局、自宅は老舗のリサイクルショップのように成り果てて、それでもまだまだ店には必要最低限の物が山のようにあって、完全に心の折れた自分は皆に、寿司食べに行かん?と言った。

皆を寿司屋へ連れて行き、豪遊して奢ったら、財布の中の必要最低限の金銭も底を尽きて、満腹になった。それから皆でドライブをして、京都へ行き、深夜のマクドナルドでハンバーガーやポテトを食べた。誰かが、今日はクリスマスだ、と言った。物が多すぎて、サンタクロースにプレゼントを貰う余裕も無い。明日は休もう。

何もいりません。舞台に来てください。