シビア犬

今年が終わってしまう前に、きみともう一度空を飛びたい。二人でわたがし雲を食べながら、なんて事無い冗談を飛ばし合って、くすくすしたい。けれども現実はシビアだから、そうはいかぬ。明日は一人でコンサートをするから、ギターの弦でも替えとこかと思って作業していたら、弦を留めるブリッジのピンが壊れて外れた。穴の中でバキッと折れてしまって、簡潔に言うと最悪、どうしようもない。歌詞も覚えなければならぬ、他にもやることがあったが、段々と面倒になっちゃって、結局何も手につかぬまま朝になり、私は独りでワンと呟いた。朝焼けが妙に眩しかった。

何もいりません。舞台に来てください。