見出し画像

マッチングアプリで出会った人と結婚したアラサー女の婚活話 #1

27歳
卑屈、卑屈、とにかく卑屈


婚活を始めようとは思っていなかった。
むしろ私なんぞが婚活を始めるなんておこがましいくらいの感覚に近い。
恋愛経験も殆どなし。大学時代に私から告白して3年ほど彼氏がいたことはあるけれど、遠距離恋愛だったので半年に1回会うかどうかだった。
今となっては本当に付き合っていたのかも疑わしい。
付き合っていた間の行動や態度を思い出しても、所謂元カレが恋愛的な意味で私のことを好きじゃなかったのは間違いないと思う。

20代後半にもなってくると、周りの友達が結婚するのも珍しくなくなってきたし、独身の子たちもほとんどの子にはパートナーがいた。
パートナーがいない友達も誰かに好かれている子ばかりだった。
「好きでもない人から告白されても困る」とか恋愛話を聞く度に、誰かから好かれている友達は凄いなあとただただ思っていた。
まあ当然か、みんな可愛いし女の子らしい。私とは違う。
羨ましい気もするけれど、諦めの気持ちの方が強すぎた。

だって私はと言えば、幼稚園時代からカウントしたって異性から告白された回数は0。
それもそのはず、身長は女性の中では高い方だけれど、高身長が好きな方のターゲットにはならないであろう中途半端な高さの166cm。
健康診断では軽度肥満の太鼓判を毎年押され、特に鍛えているわけでもないのに謎に全身ガッチリしていて、逞しくて、強そう。
せめて振る舞いは女の子らしくしようと思って言葉遣いには気を付けて、スカートとかもちゃんと履いているはずなのに、職場の同僚からもらった評価は「漢の中の漢。しかも漢字は男じゃなくて漢!」
自分は決して女性らしくなれないし、恋愛的な意味で誰かに好かれるようなタイプではない。
恋愛や結婚がしたくないわけではないが、結婚なんて遠い夢の話で自分には全く関係のない話だと心の底から思っていた。

はじめて婚活パーティーに参加したのは、ただの勢い。


ある日のこと、何故かその日は次から次へと仕事がやってきて、息つく暇もなかった。
そんな日に限って、同僚に深刻な顔で会議室に来てほしいと言われ、何事かと思えば「そろそろ婚活しないとヤバい。婚活パーティー行きたいと思うけど勇気がない。」という全然仕事に関係ない相談だった。(彼女にとっては深刻な悩みだったんだと今は思う。)
早々に仕事に戻りたかった私は、その場で同僚と自分の2名分の婚活パーティーの予約を入れてしまったのである。
終業後に我に返って、婚活パーティーの予約を入れてしまったことをひたすら後悔した。
噂によると婚活パーティーに参加するには女性は殆ど無料だけれど、男性側が高い参加費を支払わなければならないらしい。
高いお金をわざわざ払って参加して出会えた私が自分のような人間だなんて、あまりにも男性が可哀相ではないか……
とは思ったが、まあ可愛い同僚を連れて行くのだ、大目に見てもらおう。と開き直ることにした。
こうして私は初めて婚活イベントに参加することになった。

婚活パーティーに向けての準備


帰宅後、同居していた両親には正直に話した。
「今週末婚活パーティーに行ってくる」
私なんぞがどの面下げて婚活パーティーに行くというのか。
出会いを求めて活動してるなんて思われたら恥ずかしい。
色々な負の感情がないまぜになって言いたくなかったけれど、ツマラナイ嘘を吐いても仕方がない。
意外なことに両親は大層喜んでくれて、既に結婚して家を出ている姉に電話までしていた。
そうやって広められるのがまた恥ずかしいのだけれど、まあ喜んでくれるならいいかと思うことにした。
すぐに姉から着信があった。
「何を着ていくのか?」「お化粧どうするのか?」「髪型は??」と質問攻めにあったけれど、普段通りの格好でいいんじゃないかな…と答えた。
ネットで検索した感じ、ブラウスにスカートのような服装でよさそうと書いてあったのだ。自分は普段からそのような格好をしていた。
お化粧も華美なものは避けた方が良いって書いてあるし……
姉からは「絶対に気合入れておしゃれしていった方が良い」とまで言われたけれど、自分は何を着たところで文字通り豚に真珠だ。
婚活パーティーのサイトの持参品のところに書かれているボールペンと身分証明書だけいつも使っているカバンにつっこんでおいた。

パーティー当日


婚活パーティーの会場につくと、なんというか独特の雰囲気だった。
パーティーというから飲み物や食べ物があってキラキラしている雰囲気を想像していたのだが、真逆。
食べ物はもちろん飲み物すらない。
装飾など一切ない会議室のようなスペースで、学校机と椅子みたいなものが一定間隔で並べられている。
なにより、参加者らしい人たちは既にいるのだけれど、スタッフの案内する声以外全員無言。
少し気圧されたが、今更逃げ帰るわけにもいかないので同僚と受付の列に並んだ。
受付で同僚がボールペンを忘れていることが発覚し、何十円だったか忘れたが、購入することになっていた。
ボールペン貸して貰えないとかあるんだ……2個持ってきておけばよかったな……と思った。
スタッフの方に身分証明書を見せて番号札を受け取って席に座った。自分の目の前の席には誰も座っていなかったのでちょっと安心した。
同僚の席には既に人がいるが、お互い無言でとても気まずそうだ。

開催時間までには間があるが、この間にプロフィールカードを記入するそうだ。
項目は氏名、年齢、血液型、趣味、付き合ったらどんなデートがしたい?などなど。
これを初対面の相手に見せながら会話をするらしい。
氏名や年齢は良いとして、趣味とか、付き合ったらどんなデートがしたい?という項目には大層困惑した。
趣味も、付き合ったら~とかいう希望も特にないから。
というか好きなものと趣味分けるのやめません???そんなにないんですけど。好き=趣味なのでは???とか内心でぐるぐる考え始めてしまった。
とりあえず趣味の欄にはその時習慣にしていた「ランニング」と書いておいた。完全にダイエットのためで、別に好きでやっているわけでもないけど。
それ以外の項目は空欄のままにしてしまった。
そうこうしていると目の前の席に人が座った。挨拶してみたら会釈だけ返ってきた。
周りも喋ってないし、自分も沈黙を貫くことにした。

開催時間が来て、スタッフの方のご案内でパーティーが開始された。
用意された席は全部埋まっていなかった。女性の人数よりも男性の方が多そう。
プロフィールカードを交換して、挨拶をして自己紹介。
開催前と打って変わって息つく間もなく喋る喋る。
温度差が凄かった。
相手と仲良くなろうとか、どんな人なのか知ろうとか思うよりもとにかく沈黙が怖くて、プロフィールカードの上から順にお互い聞いていっている感じだった。
プロフィールカードから殆ど目を離せなかった。
5~10分程お話したら、男性側だけが席を移って次の人。
そんなのがかける人数分続いた。
一旦終わって印象カードなるものを記入する。
好感度が高かった人の番号を記入するそうだ。
人名で覚えてしまったし、どなたがどなただったかも正直覚えていない。
本来は番号と印象をメモしていくそうなのだが、どうやら私は説明を聞き逃してしまっていたようだ。
誰の番号もかけないままにスタッフの方に回収されて行ってしまった。
この後しばらく休憩をはさんで、今度は自分に好印象を持ってくれたらしい方の番号が配られた。
意外なことに何人かの方に印象が良いと思ってもらえたらしい。番号が間違っていなければ。

2周目が始まった。
今度はプロフィールカード上のことなんて1周目でほとんど話しつくしてしまっていて、更に会話の難易度が上がっている。
これ以上何を話せばよいのか分からない状態で、
とにかく沈黙にならないようにひたすら頑張るだけだったので本当に記憶がない。
2周目が終わると今度はマッチングしたい相手の番号を紙に記入する時間がやってきた。
2周目のときに番号を覚えることはできたものの、かといって付き合いたい人がいるかと問われると何も分からなかったので白紙で提出してしまった。

マッチングの時間がやってきた。
白紙で提出した自分はもちろんマッチングすることはないが、同僚はマッチングしている……!

パーティー終了後


パーティーは終了して解散となった。
帰りのタイミングは男女別にするそうで、
男性が先に帰されて、しばらく経ったあと女性が帰された。
マッチングしている男性はしばらく会場外で待機するというシステムらしい。

マッチングした同僚は会場出てすぐに別れた。
そうすると、一緒の婚活パーティーに参加していたマッチングをしていないはずの男性が電柱の脇に立っているのが見えた。
少し怖かったので逆方向から帰ることにした。
誰かと待ち合わせしているだけかもしれないが、男性を先に帰すシステム、あんまりよくなさそうだなあと思った。

帰り道の途中で、さっきマッチングして去っていったはずの同僚からLINE がやってきて飲みに行くことになった。
どうやら番号を間違えて書いてしまって、マッチングしたかった方とマッチングできなかったらしい。
連絡先知らないかとか聞かれたけれど知っているはずもなく……。
2人でヤケ酒をすることにした。
そこで知った話、私は婚活パーティーでマッチングする=お付き合いが始まると誤解していたのだが、どうやらそうではないらしい。
マッチングした後は普通の知人、その後にデートを重ねていって告白して正式に交際が始まるのだそうだ。
少し話しただけで付き合うとか全然考えられないと思っていたが当たり前のことだった。
しかし、私の中で結婚が別世界の話なことに変わりはない。
この後3年は婚活しない期間が続くのであった。

今回新しく得た婚活知識

  • ボールペンは忘れずに持っていこう

  • 婚活パーティーでは番号で相手を覚えよう

  • マッチングしても、お付き合いが始まるわけではない

  • 意外と空席が多いし、好印象カードも貰えたので、もしかしたら自分のような者が婚活しても迷惑ではないのかもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?