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『でも、やるんだよ。』

 サッカーJ1セレッソ大阪に香川真司選手が復帰することが報じられた。
 歓迎の声と同じくらい、「使いづらい」、「もう、若くない」、「怪我は完治してるのか?」、「引退した方がいいのでは?」と言った否定的な声も聞こえてくる。

 私自身は熱心なサッカーファンとは言えないが、W杯はしっかり観るし、地元j2の試合もたまに観に行くので、歴代の日本代表選手たちの動向にも多少興味がある、というか、気になってしまう。その中でも、香川真司選手からはなぜか、目が離せずにいた。
 彼に引っかかったきっかけは、『和風総本家』というTV番組の、「あなたの街のメイドインジャパンを教えてください」というコーナーで、ドイツ・ベルリンのオープンカフェで寛ぐ老夫婦にコーナータイトルの質問をして、二人が声を揃えて『シンジ・カガワ』と答えたシーンだった。
 彼の活躍ぶりはスポーツニュースでゴールシーンだけを観て、知ったつもりになっていたが、ドイツの、チームのホームタウンではない街で、どのくらい生観戦しているのかよくわからない老夫婦が、声を揃えたのだ!(TV局側の演出がどのくらいあったかなかったかは不明だが)びっくりした。
 世界で認められたメイドインジャパンを取り上げて、イコール“日本、凄い”を印象付けようとするTV番組が多くて、それには疑問に思っていたが、香川選手が凄くてもイコール“日本のサッカー凄い”ではないし、番組では楽器とか工具とかをメインで取り上げていたので、老夫婦の件は案外演出なしの本音じゃないか?と思っていた。
 その後の彼の活躍ぶりは記さないが、2018W杯後は、移籍を繰り返し、それぞれで歓迎されるも期待に応えきれず、徐々にサッカーファンの記憶から薄れていき、2022年W杯に関しては、全く、いない人、だった。
 だが、私は気になるのだ。
 彼の動向が。
 何故か?は、よくわからない。
 よくわからないこそ、知りたいと思う。彼のサッカーの、結果とそれをもたらした要因、その間の彼自身のサッカー欲、みたいなものを、知りたいと思う。
 キングカズやホンダ△などスター選手、記憶に残る選手は何人もいるけれど、記録の面では香川選手が飛び抜けていて(最年長○○は別として)、記憶の面でも、みんな忘れちゃったかもしれないけど、1stドルトムントでは、ホントに、凄かったし。そこと、ブラジルW杯前後(どん底)、2018W杯(復活でもあるけど悲壮感もあって)、そして現在に至るまでの彼のことを、私は知りたい。
 知りたいと言っても、そんなこと、ドキュメント番組をつくるとか、ノンフィクションライターになってインタビューするとかしないと無理だ。今の私にできることといえば、
①香川選手が試合に出てくれることを祈る。
②ゴールを決めてくれと祈る。
③サッカーを、楽しんでくれと祈る。
結局、祈ることしか、出来そうにない。
 2018W杯後の彼は、お世辞にも活躍したとはいえない。海外サッカー・シーンから、消えていた。
 移籍の度に、インタビューなどからは、やる気が感じられて、早い目にゴール決めたりしたのに、続かなかった。
 彼が、サッカー選手としてやりたいと思っていることがあって、例えば怪我や年齢的な衰えのようなフィジカル的な要因にそれを阻まれている、かもしれない。
 そうではなくて、心と身体がうまくリンクしない、みたいな問題を抱えているのかもしれない。
 本当のところの原因はわからないけど。
 でも、帰国するんだから。
 もう、海外じゃないんだから。
 逆に、香川真司の凄いとこ、知らない人の方が多いんだから。もう、やるしかないんだよ。
 本当はもっと近くで観たかったけど、ドイツやベルギーじゃないから、大阪なら年一くらいは観に行けると思う。だから、試合に出てほしい。
 香川真司の凄いとこだけ知ってる目と、凄いところ全然知らない目と、両方知ってる目と、周りの目はちょっと複雑だけど、だからこそ本人にはシンプルに、自分のことだけ正確に把握して、チームに馴染んでほしい。
 サッカー、続けることを選んでいるのだから、やらなくちゃ。
 

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