ヒューマンクリエイションホールディングス(7361)

初めての投稿になります。

ヒューマンクリエイションホールディングス(7361)がIPO(新規上場)承認発表されましたので、新規上場会社情報のメモします(Pは同社のⅠの部参照)。

<目次>
・基本情報:何となく会社の概要記載
・外部環境:対象会社の市況感
・内部環境:会社の事業等で分かったつもりになった記載
・財務諸表考察:ここがメインですが、財務諸表を読んでの感想など
・所感:全体の感想

<基本情報>

・システム関連で技術者特化型の人材派遣業。

・設立が1974年と歴史ある会社で、80年代の派遣業法などによる世の中の派遣事業の拡大で伸びてきたのではという印象。2016年にHD化。

<外部環境>

・労働人口の減少などでこの手のニーズは尽きなく、需給のひっ迫からか単価も上昇傾向のようです(P11)。

<内部環境>

・人材派遣なので人工(Ⅰの部記載上の保有人数)がトップラインの上限になる印象。1%ptがどの程度損益に与えるかの感応度感はわからないですが、稼働率も95~99%など高い印象(P10)。足元コロナで減ったとはいえ、その影響がすさまじかったかというとそうは感じられない気がしました。

そのため、今後の売上でIT系のようなCAGRが2桁成長が続くといった売上の爆上げ感は感じられない気もします。推測ですが、19/9期→20/9期は4億程売上が増えていますが、19/10から買収して連結した会社の効果が主と思われるので実態はフラットとも言えます(買収した企業は4億円ほどなので, P19)。

・利益も、Gross marginが20%後半と高いか低いかで言うと(業界的にと思いますが)押しなべて低い印象で、増収額×GMで利益の貢献度はそれほど多くはないのでは。人工をより強く得ようとすれば、採用費などの獲得コストやオファーする人件費が高くなるので、オーガニックに人を一気に増やすのは難しいのではないか(なのでM&Aということかもしれませんが)。

・買収を過去何度か行っている様で、エンジニアに別に詳しくはないですが、各工程を埋めるように垂直(水平?)統合することで、包括的な請負・派遣が出来ることが付加価値(高単価化)になっているのか、といったところでしょうか。今後も買収を示唆する内容(P15)もありますが、規模(供給できる人工)を取りに行くことがこのビジネスでは重要な印象です。同社の顧客(供給先)対しての差別化源泉は、それぞれ単体で派遣ではなく、幅広に一括で供給できるなどでしょうか。

<財務諸表考察>

(BS)まず着目すべきは、のれんの大きさでしょうか。純資産7億円に対してのれんが4億円なので結構大きい気がします(P42)。資金の流れは派遣先からお金をもらって従業員に賃金を支払う構造なので、商社に近いようなイメージであり、何かの拍子に資金ショートといった話は無いと思いますが、BSのダウンサイドリスクの観点では将来的には、のれんは厄介な気もします。気になったのは直近に買収した先の年商が4億円(と思う)に対して、対価が4.4億円、のれんが2.6億円なので、勝手な計算でEBITDA率を10%で見れば、対価を11年で回収で、結構遠い気もします。なのでのれんが10年なのかもしれないですが。

個人的な記憶ですが、少し前にSES企業の買収に絡んだ際、結構高かったので、これくらいの価額じゃないとそもそも買えなかったのかもしれないです。恐らく複数社の買い手候補がおり、競争は激しかったのではないかと。のれんは単純な簿価と買った金額の差額ですが、買収の評価は、相場観で将来のPL/CFの●倍なり一人当たりいくら、のような値付けと思いますので、高いか安いかの議論は将来の答え合わせに委ねることになると思います。

また、恐らくコロナ前の買収だったので、想定PLの20/9期は4億ではなくもう少し高めと思いますが、足元はちょっと想定外の事象で自分が当事者なら辛い気もしました。2.6億円の内容はほぼ派遣する人になっていると思いますので、どうやって付加価値を出していくかがポイントでしょうか。

繰延税金資産が1.2億円の中で、欠損金による税金が減る効果を見ているところですが、のれんは関係していないので、これはそこまでリスク感はない気もします。借入はそこまで資金を必要としない印象の中で多い気もしますが、のれんに置き換わったとみれば買収資金の一部とも見えなくもないですが、手許現金は借入以上にあるのでいつでもある程度は返せる状態とも言えます。お金に色は無いので何とでもいえる気もします。

(PL)のれんの年間償却額が60百万円(P49)と大きいので、費用負担が当面続くのであれば、PL的には利益の押し下げ要因になり続ける気もします。あとは売上規模が大きくなれば間接コストはそれほど増えない想定として、利益も出るという絵ではないかと思います。EBITDAなど、Cashの獲得能力を強調する打ち出しになってくるのではとも勝手に思います。PL自体は、売上と人件費周り以外で記載するところが無い印象です。税金は、利益に比して、のれんの償却が税金上、損金にならないので負担感(利益と税金の比率)は重く見えるのではなどと思いますが、20/9期は前年比でちょっと減っています。その影響で純利益は7百万円増益していますが、理由はよくわからないです。利益は2億円程度という誤差の範囲な気もします。

<所感>

ざっと書いてみましたが、あまり益のある話もなかった気もします。途中のれんを書きすぎました。。将来的な業績は大きく落ちるという部分が見えているわけでもないですし、上がるというのはM&Aなどのインオーガニックな方法でないと突出感はない気もします。しかし、先述ののれん償却負担の話があるので、短期的には利益増にはつながりにくい(収益性は悪くなるリスクがある)のではと思います。ストーリー的には、包括(一括)提供による高付加価値とM&Aによる規模拡大、市場はエンジニアの労働者人口が少ないというのがテーマでしょうか。最近は、フリーランスとかもあるのでその辺との人材の入り繰りはあるのかはわからないです。

株価がどうこうといった話はあまり関心が無いので、他のサイトで見て貰えたらと思います。以上。


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