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もんじゃの事

先日、パーマ大佐が主催するライブ「パマフェス」に出演いたしました。

お客様もあたたかく見てくださり、楽屋でもお見送り芸人しんいちの節が炸裂したりと、非常に晴れやかで楽しい気分を携えたまま帰路へ。

たまたま同じ方向で帰っていたパーマとしんいちに、僕は晴れやかで楽しい気分を押さえきれず、「ちょっと軽く行こうよ」と先輩の圧をかけてしまいました。

優しい2人は了承してくれて、3人で軽く打ち上げ、といった運びになったのです。


さて、本日のタイトル「もんじゃの事」について、です。

まあ、あの日3人でもんじゃ焼き屋さんに行ったよーって事なのですが、そのもんじゃ焼き屋さんで僕が強く思った事を書きたかったのですよ今回は。

強く思った事とは、何なのかを先に言っちゃいますと

もんじゃ焼き、安すぎるやろ!!

です。


どういう経緯か説明します。

入店後すぐに飲み物ともんじゃ焼きを一つ頼みました。

熱される鉄板を囲んだ3人は、品の到着を待つ間に

嶋田「俺そういやもんじゃって自分で焼いた事ないけど、焼ける?」

しんいち「いや、僕も自信無いですね」

パーマ「あ、じゃあ僕やったこと全然あるんで、僕やりますよ!」

なんて会話をしたんですよ。パーマ大佐だけ関東出身やもんなーとかも言いながら。

ほんで、あの銀のカップみたいなんに入ったbeforeのもんじゃが到着しまして、「じゃあパーマ頼むわー」みたいな空気になったんですよ。

そしたら、パーマ大佐がちょっとだけ、ほんのちょっとだけモジモジしたんですね。

僕らも、あれ?大丈夫か?みたいな空気に一瞬なったのですが、その空気に押し出されるように銀カップの取っ手を握ったんですよパーマが。

もうこの時点でクスクス来てるんですよ全員。

パーマがbeforeもんじゃ液の水面に浮かんでる野菜をジャーッと鉄板にぶちまけたんですね。
まあ、ここまでは「そうそう、何かこんな感じ」っていう絵面だったのですが、しんいちが

「え、油とかひかんでもええの?」

と。確かに油は引いていなかった。それを受けてパーマ、

「いや、多分大丈夫じゃないですかね?」


もう半笑いなんすよ。

話は少し逸れますが、

多分大丈夫じゃないですかね?

という言葉って、耳だけで聞くと幾ばくかの安心を得られる印象がありますが、文字にして眺めると「大丈夫」の度合いクソ低いですね。

そんなやりとりを見ていた店員さん(チャキチャキとしたおばちゃん)が

「あー!ダメだよ!油ひかなきゃ!」

と言った。それを受けてパーマ、

やっぱり油いるよね~

みたいな空気満載で、遅れた油を鉄板に。

その後、野菜で土手を作るパーマ。

しんいち「なんかちっちゃない?」

土手のリングは確かに、僕が人生で見たもんじゃ調理の中で、ダントツに小さかった。
ドーナツぐらいのリングだったのである。

「こんなもんじゃないですかね?」とパーマが言い終わるか言い終わらないかぐらいで、チャキチャキおばちゃんが

「わたしやったげるよ!」

と、もんじゃバトンはプロへと渡ってしまったのです。

この一連の流れが、入店後10分もかからずに起こった。

「おいお前できるんじゃなかったのか!」、「いや、あんなもんですって!」、「うるせーよ!」とかゲラゲラと笑いながら言い合って、

すぐに出来上がったもんじゃ。

ほんで、うまい。もんじゃ焼き650円。


いや、待ってくれ。こんなに楽しくてこんなにうまくて、それらがものの10分で完了して、650円だと?

もんじゃ焼き、安すぎるやろ!!

650円でこんな思いをできるモノって、そうそう無いぞ!

うおーー!!!

(↑昔、吉田栄作さんが「うおー!」と叫び続けるだけのテレビCMがありましたが、そんな感じの「うおーー!!」)

と思った、という話なのです。


ここからは僕の想像なのですが、

くだんのおばちゃん店員さんは、多分プロ中のプロだった。

作り方の説明をしてくれても良かったのではないか?とかいう疑問も無きにしもあらずって感じですが、いや、違う。

おばちゃんは僕たちの会話を聞いていたに違いない。パーマの「僕が焼きます!」宣言を聞いていたに違いないのだ。

プロの飲食店ホール担当は、お客の動向を常にチェックしていると聞く。例えば、客がメニューを眺め始めたらそれを確認し準備、メニューから顔を上げ周りを眺めた瞬間を見計らってそれとなく近寄る、とか。
食後に水の追加を頼んだお客がバッグから薬を出していたら、薬が飲みやすいように氷を入れずに水を出す、とか。なんかそんな感じで、お客への意識を常時途切れさせないらしいのだ。

そんなプロが、「俺が焼く!」と息巻くお客に「作り方分かりますか?」と聞くだろうか。そんな人間は、野暮というもんである。

しかも、お店はまあまあ混んでいたので、説明を省くことで1つのテーブルにかける時間を減らすというテクニックでもあるのだ。

でも、その客がうまく焼けていなかったら(そもそも状況を把握しているのが凄い)、持ち前のチャキチャキスキルでカットイン(タイミングもどんぴしゃ)、そして商品の価値は下げずに提供(美味しいもんじゃ)。

実際、2個目に頼んだもんじゃは始めから最後までおばちゃんが焼いてくれたし、そんなに会話をしたわけじゃない(めちゃくちゃ話しかけてくるタイプのおばちゃんではない)のに「芸人さんなの?頑張ってね」と言ってくれたりもしたので、あの日僕たちが座ったテーブルはプロのおばちゃん店員さんの管理下にあったのは間違いないのです。

そうなると、なおさら

もんじゃ焼き、安すぎるやろ!!

の度合いは増しますよ。

まあ、ほんまは、「誰と行くかが重要」ってのはあるよ。

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