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琉球島猫の撮影レッスン(1)【 島猫撮影のコツをプロがレクチャー! 】

ネコスタグラムや猫写真集など、普段の生活の中で猫の写真をみる機会が増えてきました。


そこで今回は、島猫映画「Nyaha!」の監督で、webマガジン「TABILISTA」で連載中の「琉球島猫百景」でも撮影を担当している写真家の仲程長治さんに、沖縄で出会う島猫の撮り方について、その心構えやコツをインタビューしました。i

琉球島猫の撮影レッスン(1)

猫の気持ちになること

ーー長治さんが猫を撮る際に意識されていることはなんですか?

猫の気持ちになることですね。


カメラを隠して、遠くから見て見ぬ振りをして、猫が「あの人間、なにしてるんだ…?」と思っているうちにシャッターを押すようにしています。

ーー隠し撮りみたいですね!?

人間と同じで、相手が「写真を撮られている」と意識をしたら緊張した画しか撮れなくなるので、猫の気持ちになりきって、できるだけカメラを意識させないようにしています。

猫との距離感が大切


ーーなるほど。猫の気持ちを想像してみることが大切なんですね。人間は言葉でコミュニケーションを取れますが、猫の気持ちはどうやって読み取るんですか?

距離感でわかりますよ。その猫が人間に、どの距離まで近づくことを許しているか。

人間も昔は自然の一部の存在として、人以外の生き物や自然との距離を上手く取っていたんでしょうけれど、言語や道具が発達したことで、相手との距離感覚がわからなくなってしまったんでしょうね。

例えば、自分のことだけを話して、相手の話を聞かない人がいたら自然と離れたくなりますよね。


猫も同じで、距離感を意識しないでズカズカと無断でテリトリーに入ってくる人間を嫌いますよ。

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◆ 猫との距離感を大切にしながら撮影する仲程長治さん

ーー仲程さんは写真だけでなく、島猫の魅力を伝える映画も撮影されていますね。島猫を撮る時に、写真と映像で撮り方は変わってきますか?

写真と映像は全く違うものです。


映像は映像でも、オートで撮るのか、マニュアルで撮るのかでも変わってきます。


でも、どんな時でも一貫して大切にしているのは、猫の気持ちを尊重すること


映像ではより一層、その心構えが大切になってきます。野良猫は基本的に野生動物と同じで、常に予測のつかない動きをしますから。

逆光が一番美しい

ーー島猫映画「Nyaha!」では、沖縄の自然の中で暮らす島猫の美しさがとても印象的でした。どのアングルで猫を撮ると美しく見えるんでしょうか?

僕は、逆光が一番美しいと感じています。


逆光で猫を撮影すると、まるでオーラのように、毛並みが美しく浮き上がってきます。耳の先端からシッポの先まで光が落ちて来て、猫のしなやかなシルエットが出てくるので美しくみえるんですね。

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◆ 夕日の逆光を浴びる美しい島猫


ーー 最後に、全国の猫フォトグラファーの方達に向けて、沖縄の島猫についてのメッセージをお願いします!

沖縄はやはり他県とは気候が違いますし、何よりも太陽の陽射しが違います。


猫を撮るなら、これはどの地域でも同じだと思いますが、基本的に朝と夕方です。それ以外の時間は暑過ぎて、沖縄の猫たちは寝ていることが多いです(笑)日陰や、風通しの良いところを探すと出会えるかも知れません。

さいごに

仲程さんは、野良猫の餌付けをしたり、特定のポーズを狙って撮影することはなく、あくまでも琉球・沖縄の原風景の中にいる「ありのままの猫の姿」だけを撮り続けていそうです。

沖縄も、急速に都市化や観光地化が進んでいますが、「島猫たちが見ている風景は昔と変わっていないかも」と思ったことが、町のあちこちにいる島猫たちを撮り始めたきっかけだったそうです。

「猫には猫のルールがある。お互いの距離を意識し、尊重し合いながら撮影することが大切」なんだと、思いました。

ご協力、ありがとうございました。

仲程長治さんのプロフィール


1959年、石垣島生まれの写真家、アーティスト。2018年に完成した島猫映画『Nyaha!』は初監督作品。現在、イリオモテヤマネコの島、西表島を舞台にした映画『Us 4 IRIOMOTE』を撮影中。多岐に渡る創作活動のテーマは、琉球・沖縄の陰翳美。琉球弧の島々が放つ独特の「色」と、身近な島の自然から得たインスピレーションを、グラフィックデザイン、カリグラフ、詩、写真、映像等で自由に表現しながら、「古琉球のアルカイックな美しさ」を模索し続けている。

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◆「琉球島猫百景」がwebマガジン「TABILISTA」で連載中!


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