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バイデン大統領

歴史はゆっくり進むが、稀に前兆もなく暴走し、止められなくなる。

今年1月6日(まだ今年である)、米国ワシントンDCの国会議事堂を過激なトランプ支持者が次期大統領ジョー•バイデンの就任手続きを止めようと襲撃。米国の議会機能が上下院とも一時的に止まった。

襲撃した目的は、
1、大統領選選挙人投票の集計を妨害する事
2、議会と副大統領(上院議長も兼任)に、大統領選の結果を覆すよう要求する事(途中から議事堂に乱入した暴徒は、ペンス副大統領とペロシ下院議長を吊せと探し回る)
3、上記1、2により、トランプ政権の継続
を目論んだ。

しかしながら5、6時間で鎮圧され、結果的にこの事件がトランプにとって致命的となり、事実上敗北の決定打となった。
政権交代直前ではあったものの、多くの高官がこの事件で衝撃を受け辞職。トランプはTwitterとFacebookも永久追放というおまけも付いた。

軍制服組トップの統合参謀本部議長マーク•ミリー(バイデン政権移行後も現職)は、襲撃事件後、秘密の回線ルールを使って、中国人民解放軍トップの李作成上将に電話をした。
中国指導部も、米国の混乱を不安視し、破れかぶれになったトランプが暴走する事を恐れて、李はミリーに質問責めにする。
「米国は崩壊するのか?その時軍は何かするのか?」

ミリーは李を落ちつかせようと、
「不安定な事態に見えるかも知れません」
「私達は100%安定しています。将軍。全て順調です。しかし民主主義は時々乱雑になる事があるんです」

しかしながら、読書家で、歴史にも造詣の深いミリー将軍は、殆ど忘れられているが、1905年のロシア第一革命(血の日曜日や戦艦ポチョムキン事件)も思い浮かべた。

その蜂起は失敗したが、ソ連建国に繋がった1917年の第二革命が成功する舞台を作った。
1917年の革命指導者レーニンは、1905年を「偉大な舞台稽古」と呼んだ。

ミリー将軍は思う。
2021年1月6日、米国国会議事堂で起きた事は、「偉大な舞台稽古」なのか?
我々はトランプの終焉を目撃しているのか?
それともトランプの次の段階の始まりなのか?

ここ数年、日本では年末になると翻訳版が発刊されるボブ•ウッドワードの新作。共作だが、最新刊『Peril』(危機)が本書である。
今年65作目。

前々作は、2016年ヒラリーvs トランプの大統領選とトランプ大統領誕生。
前作は、トランプ政権の内幕、金正恩との対談、コロナ禍の直撃、、、この時ウッドワードは何度もトランプとインタビューをしている。

そして本作は、ハイライトは本年1月6日の議事堂襲撃だが、2020年大統領選で徐々に追い詰められていくトランプと後段はバイデン政権誕生、批判も多かったアフガニスタンからの撤退意思決定までを描く。

本書を読み改めて思ったが、トランプは明らかにパラノイアの病気である。
今だに、2020年の選挙結果につき、「選挙は盗まれた」「不正があった」とことある毎に口に出るそうだ。

トランプ盟友で共和党重陣のリンゼー•グラムは、はっきりと「貴方は負けたんです」と直言し、2020年の選挙は忘れ、次の中間選挙、2024年の大統領選に集中しようと説く。

しかしトランプは一旦黙るが、トランプ支持者が集まるような公の場に出るとまた出てしまうのである。
「ジョージア州では、66,000人の18歳未満が投票した」
「アリゾナ州では重罪犯8,000人が投票した」
選挙後、トランプ陣営は50以上の選挙結果差し止めを訴訟するが、どんなに保守派の裁判官であっても、殆どワンセンテンスで棄却された。
証拠が何一つないのだから当たり前である。

グラム議員は、敗けた事を認めなければ先に進めないと考えるのだが、トランプ本人は、確信なのか無意識なのか❓改められない。
これは、典型的な妄想性パーソナリティ障害の症状で選挙云々以前に病院へ行くべきであろう。

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