殻に籠もる

人への恐怖心が拭えない。私は何故だか、昔から同性から好かれなかった。
人に対して、敬意を持って接する、決して悪口を言わない、自慢と受け取られそうな発言をしないよう気をつける、話を聞いて欲しいと言われたら、心から親身になって、相談に乗る。友人の好きな人からは、例え向こうから好意を寄せられたとしても、距離を取る。
そういう最低限のルールは厳守していた筈なのに、仲間外れにされることが多かった。
苦しかった。
一時的に、すごく親しく接してくれる友人もいた。
恋愛についてとても悩んでいるようだったので、必死になって彼女の気持ちに寄り添い、時には彼女の為に、本気の涙を溢したりした。 
彼女は決して美人ではなかったけど、愛くるしく、私は魅了されていた。そんな彼女は、幸せになるべきだと思った。
「ありがとう、あなたは優しい人だね」
別にそう言われたかった訳ではないけど、彼女の役に立てた事が、心から嬉しかった。
しかし、彼女が恋人と上手くいくと、疎遠になってしまった。唯一、彼女が苦手な友人の愚痴を言いたい時は、向こうから通話してきたりした。私はまた、彼女の為に親身になって相談に乗った。しかし、その問題が片付くと、向こうからの連絡は完全に途絶えた。
思えば私が何か彼女に相談をしても、「あなたは私と違って美人だから大丈夫」
と適当に流されてばかりだった。
私は別段自分のことを美人だとは思っていなかったし、仮にそうだったったとしても、だから何だという話だ。
私は彼女のことを、大切な友人だと認識していたが、彼女にとって私は、ただの感情の捌け口でしかなかったのかもしれない。
そう考えた瞬間、私の内部はどんどん空っぽになった。寂しかった。
あまり飲めないお酒を飲んで、嘔吐したりもした。胃の中のものだけでなく内蔵全てを吐き出し、もっともっと、空っぽになりたかった。
もうあれ程自暴自棄になることはないが、今も時折、耐え難いほどの痛みに支配される。

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