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各種感想・考察文

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既存作品の感想や考察など。 作品の形態やジャンルはいろいろ。
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#瓶詰地獄

夢野久作「瓶詰地獄」考察②

 夢野久作「瓶詰地獄」の考察を綴ってます。  今回は、各手紙を組み合わせつつ、いろいろ考えます。  ネタバレあります。  よければ青空文庫あたりで、まず、お読みください。短い小説です。 ■3つの瓶詰手紙が見つかった場所  3つの樹脂封蝋の麦酒瓶は、3つとも封蝋が為されたまま、同時に回収されています。  1つは砂に埋まっており、1つは岩の間に挟まっており、1つはどういう見つかり方をしたか不明です。  で、私ここで、ちょっと大胆な仮説を立てます。それは。 「二人が流れ着いた

夢野久作「瓶詰地獄」考察①

 夢野久作の「瓶詰地獄」について、綴ります。  複数の手紙を並べてあるという構成の短編です。未読の方で、興味がおありの方は、青空文庫にテキストがありますので、お読みください。  この作品は、背景を説明してくれないタイプの作品で、解釈が多数存在します。しかも、そのいずれもが「でもやっぱり、スッキリしない点が残る」という具合。だからこそ読者の心を捉えて放さないのでしょう。  読後感想を兼ね、考察を綴ります。  まずは、最初から順番に第一印象の感想を綴り、それから、細かい考察に