マガジンのカバー画像

各種感想・考察文

21
既存作品の感想や考察など。 作品の形態やジャンルはいろいろ。
運営しているクリエイター

#感想

映画『2081』のプチ感想

 先日、「ハリソン・バージェロン」という短編小説の、日本語訳をあげました。 「平等」という、崇高な理念を実現するために、人間本来の在り方を、歪な方法でねじ曲げようとする近未来を描いた傑作。  海外では有名な古典のようですが、日本ではまだまだ無名の作品です。  よろしければ、お読み下さい。  ところで、優れた文芸作品は、映像化されるのが常です。  この作品も例に漏れず、今まで3回ほど映像化されています。  その中で最も知られているのが、『2081』という映画かと思います。  

「Love Never Dies」を観てみました。

 オペラ座の怪人に、続編があるそうな。 「Love Never Dies」(以下「LND」)。  愛は死なない。 「死んだと思っていたファントムは生きていた!」みたいなとこからついたタイトルなんでしょう。  オペラ座の元々の演出では、ラストは「ファントムこの後、死ぬんじゃね?」という描かれ方だったということでしょうか。 「LND」は、まずロンドンで公演がスタートしてるんですが、これがまあ評判が悪かったらしい。  何じゃありゃとオペラ座ファンを激怒させてしまい、わりとあっとい

夢野久作「瓶詰地獄」考察②

 夢野久作「瓶詰地獄」の考察を綴ってます。  今回は、各手紙を組み合わせつつ、いろいろ考えます。  ネタバレあります。  よければ青空文庫あたりで、まず、お読みください。短い小説です。 ■3つの瓶詰手紙が見つかった場所  3つの樹脂封蝋の麦酒瓶は、3つとも封蝋が為されたまま、同時に回収されています。  1つは砂に埋まっており、1つは岩の間に挟まっており、1つはどういう見つかり方をしたか不明です。  で、私ここで、ちょっと大胆な仮説を立てます。それは。 「二人が流れ着いた

夢野久作「瓶詰地獄」考察①

 夢野久作の「瓶詰地獄」について、綴ります。  複数の手紙を並べてあるという構成の短編です。未読の方で、興味がおありの方は、青空文庫にテキストがありますので、お読みください。  この作品は、背景を説明してくれないタイプの作品で、解釈が多数存在します。しかも、そのいずれもが「でもやっぱり、スッキリしない点が残る」という具合。だからこそ読者の心を捉えて放さないのでしょう。  読後感想を兼ね、考察を綴ります。  まずは、最初から順番に第一印象の感想を綴り、それから、細かい考察に