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【ウマ娘】阪神1400の「追い越しモード不可区間」とウマ好みの採用価値を考える

▫️概要

  1. 阪神1400mコースでは中盤に「追い越しモードになることができない区間」が存在するが、追い越し不可能なわけではない。京都1600にも同様の区間が存在したが、恐らく京都1600よりは追い越しがしやすい。

  2. 阪神1400mコースではウマ好みによるPDM解除はできない。更に序盤の加速区間に被るため速度スキルとしての効果量(=採用価値)も減少する。それでもなお今回のコースではウマ好みは一定の価値を持つのではないか?

一見すると両者は無関係に思えるが、1があるゆえに2が重要…かもしれない🤔
と考えて、調べてみたことを以下にまとめてみた。

▫️追い越しモードとは

ウマ娘がレーンを移動する際のモード(目標とするレーンの決定方法)には「通常モード」「追い越しモード」「スキルによる強制移動」の3種類がある。超ざっくりと説明すると下記のようになる。

  • 通常モード:主に追い越し対象が居ない場合に用いられるモード。大きなレーン移動は行なわない

  • 追い越しモード:前方に自身よりも遅い追い越し対象ウマ娘が居る場合に用いられるモード。追い越すために大きなレーン移動を行なうことができる

  • スキルによる強制移動:ポジションセンス、アオハル賢のようなレーン移動スキルによる挙動。レーン移動の仕様はスキルごとに異なる

出典および詳細は「ウマ娘スクール」様の下記ページより。
レーン移動
追い越し対象

うーん、レーン移動の仕様詳細は何度読んでも難しいよ😫

▫️阪神1400の追い越しモード不可区間とは

上記で紹介した「レーン移動」ページ内「通常モードの目標レーン」の項にはこう書かれている。

序中盤、かつ最初のコーナー前200mの区間では必ず通常モードが使われます。

「レーン移動」のページより引用

阪神1400の最初のコーナー(第3コーナー)開始位置は450m地点。中盤が233mから始まるので「序中盤、かつ最初のコーナー前200mの区間」は「中盤の250〜450m区間」が該当する。つまり、この区間ではどんなに速度スキルを発動しても追い越しモードにはならず、「レーン移動が必要な追い越し」はできないということになる。

この問題が広く知られるようになったのは、2023年11月のLoH マイル(京都1600)のときだった。当初は強キャラの一角と目されていたメジロラモーヌが思ったほど強くなく、その理由が「ラモーヌ固有の発動位置が追い越しモード不可区間と被るからだ」と言われていた。なるほど、固有を出してもムダ撃ちになるケースが多いとなれば、安定が求められるLoHで実力は出せないだろう。

阪神1400は京都1600とコースレイアウトが似ており、今回この問題が再浮上してきた、というわけだ。

▫️影響を受けそうなウマ娘

中盤最初の方の直線で固有や自前金スキルを発動するウマ娘がこの問題の影響を受ける可能性がある。ぱっと思いつくところでは以下のようなウマ娘が影響を受けそうだ。

  • 花嫁エアグルーヴ:固有スキル(中盤3-5位条件)が該当

  • シーキングザパール:パール流ダンスバトル(スタート後5秒以降条件)、世界を貫く至高の輝き(短距離直線の進化)が該当

  • 桃ファル子:固有スキルを2位で発動したとき(中盤直線1-2位条件)が該当

書いていて思い出したけど、競技場ダートで自分の桃ファル子が2位で固有出して「よし、抜け!」と思ってもさっぱり前に出ていかないケースがあるのはこれかも😳

もちろん、固有や進化スキルだけでなく、ハヤテ一文字や短距離直線◯といった直線で発動するスキルもこの区間では同様に影響を受ける。

▫️花嫁エアグルーヴはNGか?

上記の問題を踏まえて、「花嫁エアグルーヴは阪神1400では採用しない方がよい」という意見もSNS上で見かけた。確かに嫁グル固有は(順位を満たせば)中盤入ってすぐに発動するため、ラモーヌ固有と同じ問題を抱えてNGのように思える。だが本当にNGなのだろうか?

そこで、先行嫁グルの挙動を「逃げ1先行3+モブ」の分布で練習20戦ほど観察してみた。その結果、「該当区間で固有を出したのに抜けない」というケースは稀であり、ほとんどは前のウマを軽々と抜いていた。うーむ。これをどう解釈すべきだろうか?

恐らく、阪神1400と京都1600のコースの違いによるものだと思う。
阪神1400:中盤開始233m、該当区間250〜450m
京都1600:中盤開始267m、該当区間520〜720m

阪神1400は中盤入り後27m進むと該当区間になるが、京都1600は最初のコーナーまでがやや遠く、中盤入り後253m進まないと該当区間にならない。つまり、阪神1400はスタートしてからさほど時間を置かず該当区間になるため、各ウマ娘のレーン位置がまだバラけているのだ。

「追い越しモード」とは追い越し対象を抜くためにレーン移動を行なうことが可能な状態だった。これができない区間であっても、レーン移動が不要、つまりレーン位置が各ウマバラけており、自分と同じレーンの前方に追い越し対象が居ないのであれば問題なく抜く事ができる。

一方、京都1600のラモーヌの場合、中盤入り後253mも進むと各ウマは内ラチ沿いを進んでおり、自分と同じレーンの前方に追い越し対象が居る状態で固有発動するケースが多かったのだろう。そのため固有ムダ撃ちが多発したと推測できる。

以上の内容から個人的には先行嫁グルの採用は十分アリだと考えている。

もちろん、嫁グルが内枠で出遅れた場合には外側から他のウマ娘が自分と同じレーンの前方に入ってきてしまうため、固有を出しても抜けないケースはある。だがこれは嫁グルに限った話ではなく、他のウマでも等しく起こりうるリスク。上にあげた動画では、1枠のパールがまさにこの状態に陥っている。微妙な出遅れから前を塞がれて、進化スキル2種を発動したのに全く前に抜け出せていない。この状態になるとほぼ負け確なので、可能な範囲で回避したいところだ。コンセ/地固め/盤石/直線スキル3種/序盤巧者などが取りうる対策になるだろう(優先度は諸説)。

▫️ウマ好みの採用価値

ウマ好みは序盤のPDM(ペースダウンモード)を強制解除して同じ脚質内で前に出るアドバンテージを狙って採用されるスキル。ただし、最速発動(スタート後5秒後)しても短距離やマイルでは5秒未満でPDMは終了してしまうためPDM解除効果は無い。更にPDM終了後の序盤加速区間と被ってしまうため、速度スキルとしての効果量も減少してしまう。

ここまではよく知られている内容だろう。短マではスキルポイントのムダになりかねないため採用しない人も多い。自分も先行差しには採用しないつもりだった。しかし、阪神1400では採用はアリかもしれないと思い直した。

これまで述べてきたように、このコースは序盤で後手を踏むとリカバリーが難しい。直線スキルが序盤でタイムリーに発動して欲しいのだが、結局は運次第。そこで「ウマ好みは効果量が減少するとしても発動タイミングはベスト。多少は使えないか?」と考えた次第。

下記は「ウマ娘レースエミュレーター」で先行の「ウマ好み最速発動」と「ウマ好み無し」を比較した結果だ。 ※比較しやすいように適宜補助線を入れてある

ウマ好み最速発動とウマ好み無しの比較結果

序盤加速はおおよそスタート後6.3-6.5秒あたりまでと読み取れる。
ウマ好み最速発動の場合は5〜9.2秒(3×1.4=4.2秒継続)。
約1.5秒間は加速に被るが、3秒程度は速度スキルとしての効果が残る。グラフ比較でも速度効果が残っていることが判る。

仮に3秒とした場合の効果量は単純計算で0.15×3=0.45m=0.18バ身。比較対象として序盤巧者が0.15×1.8×1.4=0.38m=0.15バ身。悪くない収益だ。
ウマ好みは遅延発動することも珍しくはないことを考慮すると、十分採用に値する思う。育成イベントでウマ好み貰えるパール姐さん、更にアド追加か?🤔

▫️おまけ・序盤のレーン移動戦術

ここまでは「追い越しモード不可区間」に絡んで「如何に負け筋を減らすか」という話だったが、これを逆手に取って「敵に負け筋を押し付ける」ことはできないだろうか?

具体的には追い越しモード不可区間に入る前に相手と同じレーンに移動して前方を占有すればいい。レーン移動するには…ということでポジションセンス、アオハル賢の出番。

実際にポジセンを積んだ先行ヒシアケボノで挙動を観察してみた。
まずは成功例を下記一連のスクショで見てみよう。

5番ボーノがポジセン持ち。
内隣4番に逃げマーチャンが居るので内側にレーン移動するスペースが空きそう。
3番モブ(先行)が仮想敵だ。

スタート状況

↑:ボーノは出遅れたので、3番より遅れ気味のスタート。

ポジセン発動

↑:序盤早めにポジセン発動。
ボーノはまだ3番モブより後ろの位置に居る。

レーン移動開始

↑:逃げのマーチャンが前に抜けたことで、ボーノの内側にスペースが生まれた。
ボーノはポジセン効果でレーン移動しつつ、前に出始めている。

前方占有成功

↑:ボーノは3番モブの前に出た。レーン位置も3番モブに被さるように内側に切れ込んでおり、仮想敵の前方占有に成功している。
レース序盤でこのポジションを確保できると、中盤コーナを内側で走れるためアドが大きい。

さて、当然ながら毎回こんなに上手くいくわけではない。成功するにはいくつかの条件が揃う必要がある。

  1. 自身の内側隣にレーン移動するスペースがあること

  2. 仮想敵(自身より内側の先行・差し)が自身よりも大きく前に抜け出していないこと

  3. ポジセンが早めに発動すること

1と2が必須、3は望ましい。
1について、例えば先行同士で序盤並走する状況でポジセン発動してもレーン移動できないのでムダ撃ちになる。
2について、仮想敵が序盤直線スキル最速発動などで大きく前に出た場合、ポジセンでも優位を奪えず、仮想敵の真後ろに潜ってしまうこともある。また、自身が大きく出遅れるとポジセンも全く効果が無い。
3について、ポジセンの発動が遅れると1と2の条件を満たさない状況になりやすい。特に仮想敵がポジセンより先に直線スキルを発動してしまうと手遅れになりがち。

この戦術の成功率は脚質分布に大きく左右される。「逃げ2先行4差し3」くらいであれば適度にレーン移動スペースが空いて有効になりやすいが「先行6差し3」では空きスペース確保が難しい。総じて狙い通りの効果を発揮する確率は決して高くない印象だ。実戦で2割成功すれば御の字か?

低打率の一発に賭けてスキルポイント使う価値があるかと言えば正直微妙なのだが、ハマればしてやったり! で楽しいのは間違いない。ポジセン・アオ賢が安く取得できるなら狙ってみるのも一興だろう😎

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