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世界はどう変わったのか:”Wind of Time" と”鋼鉄の巨人” The ALFEE

The ALFEEの楽曲を聴いていると あれ、これとあれは同じ世界観かな? というペアに出会うことがある。それはもちろん作詞作曲を一手に担っている高見沢さんの”世界”がそれぞれの曲に反映されているのなら当然だろうとは思うが、ふとしたことで 同じかな? と発見するとイースターエッグを見つけたようにふふふふ、と嬉しくなる。
*イースターエッグ Easter Eggs とは復活祭(Easter)の日にゆで卵を庭や公園のどこかに隠し、子供たちがそれを見つけ出すというゲームになぞらえ、制作者がこっそりとメッセージや”ネタ”を映画やゲームに忍ばせ、それを視聴者が見つける、というお遊び。

最近のアルフィーはメタルやハードロックがえげつないほどにカッコいい。
いや前からカッコよかったけれど、ガッチガチゴッチゴチさがちょっと手の届かないところまでアップしている。
私が参加できた”風の時代”春ツアーの一曲目は”鋼鉄の巨人”そして”Countdown 1999"も私が知っている80年代のバージョンから2段も3段もパワーアップしており、秋ツアーの”悲劇受胎”も最新アルバムのAGRで聴いて大袈裟ではなくぶっ飛んだ。

69歳だよ・・・
生涯現役!って高見沢さんはいつも言ってるけど、現役どころじゃない勢いよ、もう未来に向かって全力疾走しながら若い衆に ”おーーーいついて来てるかーーー”って叫んでるみたいな。

そんなメタル・HRを代表する”鋼鉄の巨人” と”Wind of Time"ーーーなんとなく同じ直線にあるような楽曲が、きちんと読み込むと実は発表時期を前後した、同じ世界の過去と未来だったのでは、と思ったので今日はその考察を。

鋼鉄の巨人:1984年発売のアルバム THE RENAISSANCE の7曲目に収録。Wind of Time:1986年発売のアルバム  AGES に収録。
ともに作詞作曲:高見沢俊彦

歌詞を読むと、”過去”の世界を描いたのは Wind of Time、そしてその後その世界がどうなったのか、を描写しているのが 鋼鉄の巨人。高見沢さんは未来の姿を先に描いて、その2年後に過去の世界を書いていた。

☆ 

Wind of Time は急激に人間が機械化されそれに抗いつつも孤独や絶望を免れないような暗い世界を思わせる。(歌詞はこちら
その一番最後の歌詞に 俺達がこの手で触れたものすべて Gold に変わる夢を見た とあり、どうなるのかわからない未来へほんの少しだけ希望を残していること、自分たちの強い思いに未来の誰かが呼応してくれるのではないかという期待を夢という暗示で表現している。

そして 鋼鉄の巨人 の最初の歌詞(歌詞はこちら)は 鉛色の魂が Gold に変わる時 君の心は少年の輝きを取り戻す

苦しい時代にもがく高見沢さんたちの”手”(歌、音楽、言葉、メッセージ)が未来の世界で誰かの魂に触れ、それが本当にGoldに変わった。そしてその魂の持ち主たちは失っていた輝きを取り戻した。
Wind of Time で見た夢が現実になり、暗く寂しく希望のない世界を生きていた誰かがその世界を抜け出そうと、変えようと、乗り越えようと、もがいているのを力強いメッセージで”火をつけ”ているのが 鋼鉄の巨人。

以下、WはWind of Time、鋼は鋼鉄の巨人の歌詞からの抜粋、そして*は私の考察コメント。

Wー時代は変わる 激しく変わる この国の明日を嘆きながら 誰か俺に教えてよ 輝く未来は来るのかい?
鋼ー吹雪の時代に火をつけろ
*Wind of Time で激しく変りつつあった時代は、輝く未来ではなく、雪と風に凍える時代に変わっていた。

Wー油にまみれ、時間を奪われ、機械の心を持てというのか
鋼ーSteel giant 目を覚ませ 汚れた街のなかで
*Wind of Timeでは人間が変わりゆく途中、それに抗う様を描いていたが、鋼鉄の巨人ではすでに人間は冷たく硬い魂・機械の心を持ったものになっていた。

Wーすべてを忘れて自分のためだけに夢を見ればいい
鋼ーJumpin’ get away, Never fade away 誰にも負けない夢を持て
*自分のために夢を、とギリギリだった世界を生きた高見沢さんはその後の世代を、夢を大きく強く持て(自分のためだけじゃない)と叱咤している。大きく持たないと輝きを保てず暗い世界から抜け出せないのかもしれない。

Wー 嵐が来る! 気づかぬうちに 信じる心を吹き飛ばすために
鋼ー 欲望の嵐を吹き飛ばせ 
偽りの愛に目をそむけ/ 甘い言葉に 耳をふさげ
*Wind of Time でまだ正体の見えなかった嵐は、鋼鉄の巨人の世界では欲望・偽りの愛や甘い言葉という人間を”信じる心を吹き飛ばす”ものとして吹き荒れていた。

Wーきっといつか世代を越えて 愛を求める時が来るはずさ 誰か愛を分けてくれ 孤独が好きな奴はいない
たとえ今が一人でも悲しむことはないのさ
鋼ー I want to love again 抱きしめたい 未来を二人で
*鋼鉄の巨人の世界では”愛を求めるとき” が来ている。
独りで生き抜いた時代を超え、孤独に打ち勝ち、また愛を見つけ未来を夢見ることが出来る世界を作るのは一人ではなく誰かと、愛する誰かと。

Wー最後の武器は お前の愛しかない
鋼ー愛する女はお前だけ
*いつの世界も、時代も、お前の愛!!お前への愛!それが全て、それが答え!

高見沢さんがこの2曲を書いた時に前後の世界を意図していたか、意識していたかはわかりませんが、まるで映画の全編後編みたいなシンクロに思わずニヤッとしてしまいますね。しかも未来が先で過去があとのスターウォーズ方式です笑。
以前の考察でも発表時期を前後したシンクロに さすが高見沢さん天才か!!とワクワクしましたね。

昨日、1月20日はこの2曲のボーカル、桜井賢さんの69歳のお誕生日!
これで3人揃ってTHE ALFEE ・69歳、最高にロックでカッコいいデビュー50周年になりそうですよ!
もうすでに大好きな人も、アルフィーあんまり知らないなぁってお方も、じゃんじゃん聴いて元気もらっていきましょう!

シマフィー


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