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学ぶのは何歳からでもいい

私は教師なので普段は教える側、学ぶ人たちを相手にしている。(*アメリカ東の私立校で歴史を教えています)生徒たちには内容が何であれ、学ぶことが楽しい学んで良かった、と感じて欲しいと思いながら準備をする。
が、その手応えはすぐに感じないこともある。

自分自身も小さい頃から何か新しいことを学ぶのが好きなので興味があるものには何かしら手を出してきた。
この頃はYoutubeや個人のブログなんかで色々なジャンルのチュートリアルがあるので何か新しいことを始めたい人には嬉しい時代だろう。
やろうと思ったらすぐに始められるのがいい。

思えば私がまだ大学生や院生だった20代にはネットは今ほど身近ではなかったので何か始めようとするならどこかに足を運び体験入学やお試しなどをしなければならなかった。
フラメンコもキャンプもテニスも運転もメイクもマウンテンバイクも、そうやって誰か(友人かプロか)から学んだのだ。
昔はちゃんとした動機と決心と行動と労力が必要だった。

私は洋服を買うときに試着をしない。面倒だから。
鏡の前でパッと当ててみて大丈夫!と思うものか返品可能(アメリカではどこもたいてい返品OK)なものを買うが時々家で着てみてから ああああーーーー と感じるドレスやシャツがある。色味が良くないとか一部のサイズが合わない(例えば胸囲や首周り)などのせいで返品したり着なくなったりする。
ブティックの鏡で当てて見た時にはめちゃめちゃ美人だったのに笑、家でいざ袖を通すと田舎の子になる。
微妙な色味の違いやサイズやフリルやボタンなどの細かいディテールが自分の身の上や光の加減で良くも悪くも変化するのはわかるのだが、私にはどう変化するのかがわからないし、多分ブティックの鏡で見た美人自体もまやかしであったろう。

この夏、絵を描こうと思い立ち、スケッチブックと鉛筆で細々と練習を始めた。
3週間近く、毎日1時間から1時間半の時間を作り、練習に当てている。
練習台は私の愛するアルフィーさんなので細かい観察が楽しいことこの上ない。

穴が開くほどに見つめ、何度も消しゴムで消して手直ししてもどこかの線が、どこかの影が、どこかのバランスが良くないと似てこない。
試行錯誤し、難しすぎてキーーーっとなることもありつつだが、毎日一つか二つか新しい学びがある。
理論的にはわかっていること、頭の中では”当然”と感じていることでも、実際対象物を凝視して、手を動かして、一ミリの線を二ミリにして、遠くから眺めてみて、と自分が密接にそのプロセスに関わることによってちゃんと見えてなかったことに気づく。

笑い皺はどこに出るのか
目の輪郭はどう曖昧なのか
髪の毛の生え際は思ったよりも上だ
耳は思ったよりも下だ
影には何種類もある
黄色も何種類もある
鼻は長いのか高いのか大きいのか
目の輝きはどうやったら嘘っぽくなくなるのだろう
自分は鼻から描くと一番顔全体のバランスを取れる
鉛筆も何種類もある
練り消しは鉛筆画には必須だそうなので欲しい(まだ買ってない)

そして画用紙を離れてからも、新しい視点が生まれているのに気づく。

外を走っていて遭遇した蛾の触覚と羽のプロポーション
池を掃除の途中にカエルの緑のグラデーション
夕飯を食べながら夫の顔上に影がどう出来るのか
お風呂上がりのローションを塗りながら筋肉はどう動くのか
流しの水が流れる動き
フライパンにひく油の形

これまでに全く気にも留めなかった小さなディテールが目につき、自分で考えながら見ていることに気づく。
今度ブティックで洋服を当てて鏡を覗く時にはもう美人の自分はいないだろうな、私の目はもう誤魔化されないのだ(笑)。

今日は誕生日用にシフォンケーキを焼いたのに萎んでしまった。でもふかふかとは言えないケーキの表面に落ちた光と影を見ながら、面白い形になったなぁと笑った。夫は ”シワシワのシマちゃんにシワシワのケーキ” と笑った。
大好きなThe ALFEEを大きな音でかけながらシワシワのケーキを愛する人と食べよう。彼の鼻の形や目尻の皺の角度を食べながら観察しよう。

人生、3分の1を過ぎ(150まで生きる予定です)ても新しい視点と観点が生まれるなんて、幸せなことだ。学ぶのは何歳からでも意味がある。
学ぶのは楽しい、学んだからこその更なる学びに繋がるのがもっと楽しい。

学という漢字の中の 子 が表すように、子供のような気持ちで毎日絵を描き新しい発見をしている。

シマフィー

*ちょっと上達してきました↓

7月26日の高見沢さん。もう何をどうしていいかわからない初日w
7月29日の坂崎さん
8月7日のアルフィーさん
8月7日の坂崎さん
8月10日のデビュー当時のアルフィーさん(1974年)
8月12日の高見沢さん
8月13日の高見沢さん(80年代と現在)




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