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ちいさいシマリス

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昭和の子供はこんなんでした。
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#家族の物語

世界の始まり、海のある小さな町

宮崎県の青島 ここに住んだのは人生の最初の何年かだけだけど、自宅の周りの風景も学校までの道のりも、ピアノ教室やお寺の幼稚園までの風景もよく覚えている。 不思議なものでこの町を引っ越して、その後高校卒業まで暮らした海から遠い町のことはところどころしか思い出せない。 小さい頃に見たものや食べたもの、経験や感情などは”人生で初”のものだからだろうか、私の記憶の中の青島はとても鮮明だ。その後に似たような経験をしてもそれが何度目かであり繰り返したものであるので強い印象がないのだろ

ピーナッツバターのトースト

私にとってのピーナッツバターは紙のカップに入った甘いやつです。 メーカーはアヲハタだったのか・・・画像を探してみたけど見つかりませんでした。昭和に子供だったみなさんには あーあれか、とわかるのではないでしょうか。正式にはピーナッツクリームでした。 小学校の5、6年だと思うのですが、母と二人暮らしだったそのころの朝ごはんはトーストにピーナッツバターと牛乳にほんのちょっぴりインスタントコーヒーを混ぜた、カフェオレとは言い難いほぼホットミルクのようなものでした。 他のものも食べ

鬼とじいちゃんと節分

じいちゃんは、お酒を飲んで気に入らないことがあれば、窓からコップやら小皿やらをパーっと投げ捨てる。そうなるとテレビを見ている私といとこのゆりちゃんは二人で奥の部屋に引っ込まないといけない。子供を怒鳴るわけでもないし、手をあげるわけでもないが、 “もう、こんげなん料理は食わん!” と大きく自己主張する老人は見ているだけで怖い。 ばあちゃんはその日のうちに壊れたコップやら皿を取りにはいかず、次の朝までそのままにしておく。じいちゃんが朝起きて、昨夜と同じ場所に座ってお茶を飲む時に