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【今さら】R5予備試験の戦略を振り返る

 こんにちは! Twitterデトックス中のしまだです。
 デトックス初日の昨日が一番きつくて、一日を通して「民法 捨て」でYahooリアルタイム検索をしてました(笑)
 勝手にエアリプに傷つく癖、治したいところです。

 ご存じない方のためにあえて説明すると、予備試験受験前において民法の勉強時間を極端に落とすことを書きの通り「捨てた」と表現したところ、実務家の先生をはじめとして大ひんしゅくを頂戴いたしました。

捨てた派です(全体勉強量中民法5%もやってない) 論文引っかかりましたが口述で過去の自分を恨みました。 分量減らし気味にする人は論文後にしっかり取り戻すことを強くオススメします。

午後7:09 · 2024年5月5日 1.1万件も見られ取ったんかワレェ

 他の方のご意見をまとめると下記の通りです。
①〈試験上の視点〉他の科目に影響のある民法を捨てる=他の科目も捨てることになりかねない
②〈試験後の視点〉「民法捨てた」奴に弁護士としての仕事ができるのか、依頼者になったときにとんあ弁護士に仕事を依頼したいのか
③〈面白い視点〉民法捨テテ忠孝亡ブ←瞬発力で負けたなあと大反省

 ①②本当にその通りだなあと思います。ぐうの音も出やしません。
 実際、情報を発信する側として「捨てる」という表現も曖昧で思慮がたりなかったなと反省しております。

 ただし、思慮が足りなかったにしても当時の私の主観上は「捨てる」という言葉が最も適切でした。ざわざわさせてしまったお詫びとして、R5の予備でどうして捨てるに至ったのかの思考を振り返りたいと思います。
(本音はもうこの話を吐きだしてすっきりしたいだけです)

※なお、以降の振り返りを見てもらっても分かるとは思いますが、私は民法を捨てることを他の方に奨めません。司法試験の王道はやっぱり「弱点をなくすこと」なので民法を弱点にするのはご法度だし、民法の理解が他の科目の理解に知識面でも思考面でも及ぼす影響は計り知れません。
 ヘッダー画像の「特段の事情」は私が一番の限界事例です。他の人にはほどんど当てはまらないと考えます。この点はご留意ください。

1.当時の学習状況

 R4の予備短答に不合格だった私は、8月から心機一転答案を書いてはロー同期に見てもらったり、短文事例問題集をこなしてはインプット教材を見返すという作業をこなしていました。
 ただ、育児と仕事の両立が第一優先で、学習時間は2時間できればいい方、できない日は5分短答アプリに触れるといった有様でした。

 そんな中で3月を迎え「このままでは短答でまた落ちる」という思いになり、実務基礎と選択科目がほぼ手付かずのままに短答集中期に突入しました。突入したといっても答案を書く時間を短答解く時間に替えただけで、そもそもの勉強量はそこまで上げることができませんでした。

2.なぜ、どうやって「捨てた」か

(1)短答編

 本試験時代はいずれも短答3科目だったので、
・上3科目は「思い出す勉強で凌げそう」
・下4科目は「本腰入れてやらないとまずい」
という状況でした。

 しかも、R4受験前はすべての科目を肢別(民法だけ本、残り6科目はアプリ)でやっていたところ、3周解きっぱなしで受験に突入するという「後に残らない」学習法でやって失敗していたため、特に下4法は改めて短パフェを買い直して解いていました。

 ただし下4法の短パフェも6月中旬で2周しか終わりませんでした。
 また、憲法刑法はアプリのままで行きましたがアプリ内で「要注意」に分類していた各300題を繰り返して「OK」にできるようにするにとどまっていました。民法に至っては肢別を1周したにとどまりました。
 
 この状況においてまず私が考えたのが、

「ここからあと1か月で伸びる教科は何か」

でした。
 2周にとどまる下4法の短パフェは、3周目から「2回やって間違った問題」のみを解くことができるという一番うまみの出そうなフェーズでした(実際刑訴なんかは10点近く伸びた)。
 憲法刑法は子供が寝ている間にも布団でできるのでこなすことができました。

 一方の民法、頻出and苦手問題を選別しきれていないうえにここから2周目に突入すると他の科目に手が回らないという重たさでした。

 ここでさすがの私もためらいました。ロー時代から

「民法を制する者は司法試験を制する」

 という格言を金科玉条錦の御旗の如くかかげ、商法・民訴・労働法はもちろんのこと横領事例では刑法、私人間効力では憲法など、刑訴以外の学習においても参照されます。
 そんな法学の根幹たる科目を、肢別1周で突入していいのかと。

 ただ私にとっては社会人受験生としての時間の「制約」が何よりのネックでした。そりゃやれるもんなら10時間全部の科目やりたかったです。
 そんなことを嘆く時間もないし、何よりもう絶対に落ちたくない。
 というかR5で短答落ちしたらギブアップという別の「誓約」も妻との間でかけていました。雁字搦めです。

 そんなきびちー精神状態の中でやむを得ず民法の肢別を棚にしまう決意をしました。本番の試験前も商法と民訴の逐条テキスト見てました。

(2)論文

 短答は辛くも通過したものの、今度は実務基礎と選択科目が間に合っていないです。特に実務基礎は「Aにしておくことが論文突破の定石」と言われていますし、手薄な対策では許されません。
 刑法についてはLEC大塚先生とBEXA剛力先生の思考を比較し補完し、小猫太郎先生の金言を加えることで相当完成に近づける感触を得ていました。
 下四法についても民訴はBEXA大瀧先生の百選講義と予備過去問の往復、その他は加藤ゼミの基礎問と手持ちの論証集等の比較対照をやり込むと相当活路が見えるという感触を得ていたため、これに注力すべきと考えました。

 上記の「行けるかもこれ?」という科目に対して、憲民労はこんな感じでした。
憲法:基本講義憲法Ⅰ、流儀、合格思考、三つ読んだけどまとまりにくい。どれを軸にしたらいいもんやろか、、、
民法:何をしたらいいのかが分からないほど広い。基礎問も悪くないけどその他の「穴」がふさぎきれない
労働:加藤ゼミ100問をやるしかない。迷う暇もない

 特に民法がアカン状況でした。他の科目は短答による知識の集積はある一方民法はそれもない。おまけに基礎問と比較対照するテキストも絞り込めていませんでした。かろうじて呉基礎本を持っていたものの総則物権は開くことすらできていませんでした。

 こうなったら開き直るしかありませんでした。具体的には憲民労はそれぞれ一冊にしぼってAランク論点を確認する。あとは本番の粘りでどうにかするという方策に切り替えました。

 本番までの過去問起案の比率も上記に比例しました。憲民労は模試1通しか起案できませんでした。

3.実際の試験における影響

(1)短答

 問題が簡単だったのか、得意な分野が出まくったせいか、28点でした。
 いっぱい勉強した下四法より点数が高いの、何の皮肉かと思いました。

(2)論文

 R5は悪名高い難問でした(よく考えさせる問題なので演習の価値はある)。そのせいもあってか得点相場が荒れたため、Dで凌ぐことができました(ただし点数評価サービスではFだったことは補足します)。

 ただしそれ以上に響いたのが民事実務基礎でした。設問のどれかが忘れましたが、120条台の追認について全く想起することができませんでした。その他の設問は割と書けたはずなのにAにはならなかったのはそういう点があると推測します。
 その他にも、おそらく「認識しない分野」において点数を失っている可能性があります。

4.今後受験される方に向けて

 上記緊急性に加え、民法は総則・物権2冊・債権2冊・家族法の5冊を学習しても、各1冊で済む下四法と短答論文の点数が(見た目に)同じだと考え、この方策を取りました。

 ただし、「捨てた」と言っても下記の点は注意が必要です。
・本試験時代に約10年分くらいの過去問を3周起案している
・短答も一応学習経験があるし足切りされたことがない
基礎問のAランクの確認はしている(今なら剛力先生のこれだけ75くらいは絶対確認します。当時は未出でした)

 実務家の皆様の有難いご指摘もある通り民法は一番大事です。これを読んだ受験生の皆様はゆめゆめ民法を捨てることなどなさいませんように。
 ただし、弱点に合わせた「学習比率の変更」は柔軟にすべきものと考えます。ご自身の弱点を補う学習を心がけることで、合格を勝ち取ってくださいませ。

 あと何よりも大事なのは、ある人の意見を聞いたり取り入れる時は「その人の属性・ステータス」を確認したうえでにしましょう。この話は「あの教材神!」論にも通ずるところです。

5.補論_司法試験に向けての現状

 本試験では民法の比率が予備に比べて高いし、何より短答足切りという恐ろしい地獄の門番が立っているので、他の科目の2倍以上民法をやっている現在です(特に論文過去問がヤバい。やってもやっても解ける気がしない)。
 私だって言われなくてもわかっていますよ。司法試験やその後の実務家として一番大事なのが民法なことくらい。

以上長文失礼しました。ではでは!


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