ボレロ100005

森友学園というチキンレース

愛国教育を謳う、教育勅語を生徒に唱和させる等々を行う私立の教育機関があると聞いても、「まじか・・・」と思う反面、「さもありなん・・・」とも感じます。

制度的にアウトかセーフは別として、そうした保守的雰囲気を好む・好まないは人ぞれぞれ。

しかし

・運動会の選手宣誓に、「安倍首相、ガンバレ! 安倍首相、ガンバレ!安保法制国会通過よかったです!」

・保護者に対して「韓国人と中国人は嫌いです。」とのメッセージを送る。

・児童が漏らした排泄物をビニール袋に入れて持ち帰らす等、虐待とも言われ得ない指導。

ここまでくれば、保守云々、イデオロギーの方向性を問わず、ただただ「ヤバい奴」「危ない奴」という認識を持って然るべきものでしょう。

塚本幼稚園(by森友学園)に関する、この手の話は、少しネットで調べてみれば、ざくざくと掘り起こすことができる。

もっとも、こうした「ヤバい奴」は広い世間に珍しいものではない。こうした「ヤバい奴」の「ヤバい発想」に、賛辞を惜しまない人たちがいることも。


ただ、どうしても理解に苦しむことは、こうした「ヤバい奴」が、なぜ国家権力とお近づきになれ、国有地を8億円引きで購入し、小学校を開設することに認可が下りるのか。

逆に言えば、なぜ権力者の皆さまは、ここまで”あからさまに”「ヤバい奴」に肩入れしたのか。する必要があったのか。

場合によって、いや、今となっては結果として、自身の政治生命をも脅かすことになってまで。

その合理的な理由が見つからないのです。


そうしたときに、ふと脳裏をよぎったのが、『理由なき反抗』というアメリカ映画です。

1955年制作、ジェームズ・ディーンがクールな不良を演じ、後に代表作の一本に数えられるこの映画。”Rebel Without a Cause”というタイトルは、当時の若者たちの気分を表す流行語にもなったそう。

そして、この映画の中でもう一つ話題になったのが、チキンゲーム。日本ではチキンレースという名前の方が通りが良いのかも。

崖に向かって走らせる車の運転席から、先に飛び降りた方が負け。要は、命がけの我慢比べ、根性試しです。(※映画の中では、ジェームス・ディーンの敵役は、うまく車から降りれず、崖の先の谷底へダイブします。)


そして、この森友学園の一件も、実は権力者たちのチキンレースだと思えば、果然、納得がいくという訳。


森友学園は、そのまんま、崖に向かって突っ走る危ない車です。乗り込むのは不良の権力者たち。

それでも、単なる私立の幼稚園である限りは、そのスピードはまだ緩やか。それではスリルがありません。

そこで、スピードを加速するためのアクセルが踏み込まれます。小学校の認可。国有地の8億円引きセール。「安倍晋三記念小学校」という名称。首相夫人の名誉校長就任。

そうしたトピックで大衆の耳目を集めることで、もともとの幼稚園のヤバさも広く明るみになり、もはや谷底へと続く崖は目の前です。

ここにきて、首相はようやく飛び降りました。もちろん走る車、無傷という訳にはいかないでしょうが。


一体全体、どうして権力者たちは、このチキンレースをせずにはいられなかったのか。

考えるに、一つは、仲間内で危ない遊びを共有することで生まれる連帯感。首相、防衛大臣、府知事等々が、今回の件では取り沙汰されています。そして、それを見守るギャラリーへの威圧。「俺は、ここまで危ないことができるのだぞ、危ないのだぞ」という不良風を吹かす。

もう一つは、そうした危ない遊びを咎める大人たちがいないことを見せ、自分のもつ権力・支持率を誇示したい。その大人とは、時に政治家かもしれませんし、また、国民・世論というものかもしれません。

どちらも、危なければ危ないほど、効果的でしょう。

そう考えるならば、森友学園が選ばれた訳も、合理的に説明できます。谷底へ突っ込んでも問題のない車だからです。

森友学園の総裁・校長の籠池泰典さんは、元々は県庁職員で、結婚後、義父から塚本幼稚園を引き継いだという経歴の持ち主です。

教育者としての確固たるキャリアがあるわけでもなく、業界内の後ろ盾もいない。(※仮にいたならばば、もっと以前から、行き過ぎた振る舞いを咎めだてされて然るべきでしょう。)

言ってしまえば、いざとなれば、権力者が簡単に乗り捨てられる人物です。

今回の森友学園の一件は、そうした人物を権力者が担ぎ出して楽しんだ、ギリギリの遊びでだったのでは、ないでしょうか。

もちろんガソリンは税金で、海外の大人たちからは白い目で見られていますが。

#首相 #安倍晋三 #森友学園 #塚本幼稚園 #教育 #理由なき反抗 #ジェームズ・ディーン

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