見出し画像

気分は…

ちょっと前の気持ちの不調からなかなか抜け出せないでいる…。

きっかけは娘夫婦のちょっとした提案。
これが娘夫婦にしてみれば合理的ではあるだろうけれど、私にとってみたら結構なシビアでそしてとてもセンシティブな提案。

なんだかすっかり終活に舵を切らないといけない気分になった。

悪気がないのもわかっているし、良かれと思ってのことだとも思う。
けれどまだ母も入院していて、週に3回の面会、おやつの介助、必要な書類の提出や病院とのやり取りも、私が今一人で全部している。
その上での提案として考えると、少し悲しくなる提案だった。

きっと若い人にはわからないだろうと思う…。
何が正しいのかわからなくなって、私と同年代より上の世代の人に相談したけれど、皆目を見開いて
「それは…」
と絶句した…。

娘夫婦の提案を私が素直に受け容れなかったことで、娘は否定された気持ちになったのかもしれない。
その提案からいろいろあって、母娘の関係が悪くなった。
何だか今までの自分の親としての生き方も全否定された気持ちになる娘の言動もあった。

少しずつ関係は修復されてきたものの、なかなか気持ちが浮上しない。
そして、その時から気分はすっかりおばあちゃんだ。

考えてみれば、腰も痛いし背中も痛い。
緑内障の右目も視野が狭くなってきたような気がする。
相方が励まそうとしてかスニーカーを買ってくれようとしたけれど、気に入った靴は外反母趾のせいか痛みが出て買えなかった。

久しぶりに行ったゴルフもスコアが悪く、詰め込まれ過ぎたコースでは待ち時間が長く、後半にはクラブを振るたび腰が痛み、外反母趾で痛む足を引きずって何度もグリーンを行ったり来たりする羽目になった。
ほとほと疲れて反省会の居酒屋ではあくびばかり出る始末。
眠剤を飲んで寝ても夢ばかり見て2時間ごとに目が覚める。
見る夢も何だかうら寂しい気持ちで目覚める夢ばかり…。

気づくともう今年も3カ月を切っている。
あと何回私は元気にお正月を迎えるんだろうか…。
あと何回自分の足で桜を見ることができるんだろう。

やっぱり気分はすっかりおばあちゃんだ…。

母の面会は続けて行けている。
相変わらずの超低空飛行。
先日は点滴になっていた。
帰り際に看護師さんに訊いたら
「食事にムラがあるので、脱水防止で念のため…」
と説明があった。

……と、その時…
「お孫さんですよね?」
と看護師さんの口から天の一言・・・。
「いえ、娘です」

「え?○○さんのお孫さんですよね」
「いえ…娘です…」

看護師さんは慌てたように
「じゃあ、説明は大丈夫ですね」
と言うようなことを早口で言った。

あぁそうか…。
その時私は大きめのマスクをしていた。
デイサービスで働いていた時に、コロナ禍からご利用になった方が水分を取るのにマスクを外された時に
「あれ?この方、若く見えたけどやっぱり年齢相応なんだ」
と思ったことが何度もある。

その時のことがすぐに頭をよぎり、看護師さんの早とちりの理由に合点がいった。

それでも…。
おばあちゃんだった気分が少し若返った。
看護師さんの顔から後光が射しているように見えた。
きっかけってすごく大事だ。

今日は仕事をしていたら、ベランダで猫が「ニャー」と鳴いた。
外に出していないのになぜ?
逃げないように、慌てる心を抑えてそっと網戸を開けた。
猫はのんきそうにトットッと歩いた先で寝転んでお腹を見せた。
そっと抱き上げて部屋に入れた後、今日は休みで寝ていた娘に声をかけた。
「窓は開いてないよ」との返事。

どこから出たのか…と訝しい思いでまた仕事に戻った。
30分ほどしてまた「ニャー」
「????」
網戸の向こうでのんきに、足台に寝転んでこちらを見ている。
さっきと同じような経緯をたどってお腹を見せた猫に思わず笑いが漏れた。
「一体どこから出たの?」

結局娘の部屋の窓を自分で開けて出たらしかった。
窓を開けた覚えがなかったこと、隙間が少しだったこと、カーテンが閉まっていたことで気づかなかったらしいが…不覚すぎるだろう…オマエ。

何しろ屋根に出なくてよかった。
何度か屋根に脱出されて危険な思いで捕まえたことがある。
命と引き換えの保護作戦…。

久しぶりに気持ちよく笑顔が出た。
これもきっかけ。

明日からはきっと上向きになるはず…。
眼鏡の優し気な看護師さんと、我が家のおっさん猫に感謝…。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?