スタディ通信 22年11月号
11月で『諸相』スタディは2周年を迎えました。これまで24回、出張も含めると26回のセッションをやってきたことになります。
2年つづけられて、本当にありがたいことです。
参加してくださっているみなさま、いつもありがとうございます。
スタディのふりかえり
11月はジェイムズが描く宗教の型(タイプ)の議論を踏まえて、AAのスピリチュアルな信仰の世界観について話しました。
どのような集団も、技法も、宗教も、思想などなどなども、大まかに共通する世界観を共有することによって成り立つものです。
AAは宗教ではありませんし、政治団体や社会運動団体ではありません。しかし、AAの拠って立つ霊的な領域にも、AAなりの世界観を持っています。
そんなAAの世界観を、昨夜はジェイムズの「一度生まれと二度生まれ」という二つの異なる気質の概念を使って、説明しました。
その気質を、ジェイムズはこのようにまとめています。少し長くなりますが、引用します。
ようは、一度生まれ型の宗教と二度生まれ型の宗教の、それぞれの世界観は明確に違うということです。
そしてAAは、ビッグブックやビル.Wの書いたものを読むと、明確に二度生まれ型の世界観・信仰観をその基礎にもっていることがわかります(同時に、ニューソート等の一度生まれ型の世界観の影響もあります)。
それは例えば、ビッグブックが「自己(self)」というものをどのように捉えているかからもわかるでしょう。
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さてさて、僕はAAに来て3年ですが、なんか骨身にしみるように理解したことがあります。それは「ビッグブックを読むことは大切なことだけれど、ビッグブックだけを読んでると誤読する」ということです。
ビッグブックが前提としている考え方や文化、概念や世界観や価値観などはビッグブック以外を読むことで立体的に理解することができます。
それらを理解するためには、まずビル.Wの書いたものを読むことも役立つでしょうし、『AA成年に達する』もいいでしょう。また、カーツのNot-Godやジェイムズの『宗教的経験の諸相』も非常に有用です。
とかく、ビッグブックに書いてあることを理解し、実践しようとするならば、ビッグブック以外も学ぶ必要がどうしても出てくるということです。
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そんなこんなで、AAの原理を理解する上で、どうしても外せないテキストの一つが『諸相』なので、そのスタディをやっています。
そして、そんな地味で目立たない営みを、これからも続けていきたいと願っています。興味があれば、遊びに来てください。
参考文献
ジェイムズ, ウィリアム (1969) 『宗教的経験の諸相 (上)』桝田啓三郎訳, 岩波文庫
リンク
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