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日本でも大人気、インド・タラブックスのハンドメイド絵本

『つなみ』

(原書発行・タラブックス、日本語版刊行・三輪舎)

【7日間ブックカバーチャレンジ 6日目】

シルクスクリーン印刷と手製本というハンドメイドの味わいが世界各国で大人気の、インド・タラブックス絵本。『夜の木』など、日本でも翻訳版が多く発売されています。今日はその中から、インド伝統の絵巻物師が描いた『つなみ』をご紹介します。

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インド洋大津波の悲劇を、絵巻物師が一連の物語に

この絵本に記されているのは、2004年に発生してインド洋沿岸に甚大な被害をもたらした、「インド洋大津波」の物語です。

ベンガルの絵巻物師ポトゥアと呼ばれる人々は、古い民話から最近のニュースまで、様々なストーリーを元に絵を描くだけで無く、それを携えて家々をまわり、絵に描かれている物語を語り歩くそうです。タラブックスはインドを襲った大津波の悲劇を記録しようと、絵巻物師に作品の製作を依頼し、語りの歌を文字にして、シルクスクリーン印刷が美しい一続きの蛇腹式絵本にしあげました。

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『つなみ』 日本語版のレイアウトは矢萩多聞さん(上の写真も)

2011年に日本を大津波が襲った時、この絵本はインドではもう品切でしたが、その後多くの人の努力で日本語版が2018年に完成し、東日本大震災で亡くなった方々への哀悼の意をこめて出版されました。

コロナ禍が世界を覆う現在、災厄の記録と共に「津波が引いた後、砂に埋もれていた1300年前の寺院が忽然と姿を現した」という、未来への希望と再生をも語るこの絵本を、再度読み返してみたく思います。


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