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いつでも会える。

こどものころ、そんなタイトルの絵本が流行った。

私の家にもその絵本があって、はじめての「わかれ」を経験するシロのことを、それはとても悲しいだろうなと漠然と想像していた。

そんな気持ちも忘れた頃。
わが家に初めてうさぎさんがやってきた。
名前はラムちゃんといった。

その子とはずいぶん長く一緒にいて、10年以上の時を過ごして、大人になって初めて、わたしは「わかれ」を経験した。

あの時漠然と想像した「かなしさ」をはるかに超えて、悲しいなんて言葉じゃとても足りないふくざつな気持ちがぐるぐるした。

そのぐるぐるがまだ消えない頃。
らみちゃんに出会った。

一目見て「うちの子だ」と思って、本当にすぐうちにやってきた。でも、らみちゃんと過ごした時間はラムちゃんにくらべるとあまりにもみじかかった。

2回目だからといって、「かなしさ」になれるということはない。何回だって出会いは嬉しくて、何回だって別れはつらい。

あの時すでに実家を出ていた私には、一緒に涙を流してくれる人がいた。「かなしさ」は半分にはならないけど、一緒に抱えてくれる人がいた。

***

あの絵本のことはしばらく忘れていた。
でも今日という日を迎えて思い出した。

2024年2月16日。
らみちゃん5回目の誕生日。

数年前からここでらみちゃんたちと過ごしたきろくをのこすようになって、「かなしさ」というものはだいぶ少なくなった。

時間がすぎたから、ということもあるかもしれない。でも私は「いつでも会える」という気持ちがつよくなったからだと思う。

かわいい写真をみんなにみせて、あんなことやこんなことを話すと、ふしぎと「いつでも一緒」な感じがするんだ。

らみちゃん、お誕生日おめでとう。

ん?なんかくれるん?


こんなにかわいい妹もいるんだもの。

そう、らんちゃんもいるの。


ね、いつも一緒だもんね。
みんな一緒、いつでも会える。

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