残したもの、残るもの

正直、動画を出すべきか悩んでいた。

自分の中で、彼が残した最後の動画があまりにも綺麗で。
締めくくりの物として腹を括って世に出したんだということが伝わってきたから。
今作っている動画を出してしまうと、彼のそのまっすぐ光る覚悟に影を差してしまうのではないかと。

けど、彼自身が「見たい」と伝えてくれた。
自分の純粋な心にもう一度灯りをともしてくれた。

そんなの、オレが一番見たいに決まっている。
したいことがあるなら、やりたいことがあるなら。
それに手を伸ばすことができるのであれば。

掴むべきだ。

そうしてようやく腹をくくれた。

頭の中で「怖いのは失敗する事じゃなく、何も残せない事なんだ」と、
初夏の風のように透き通った歌声が響いていた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?