西永福

去年東京に行ったとき、久しぶりに祖母の家に行った。

京王井の頭線、各駅。
渋谷駅から下北沢を越えて、西永福駅。

小さい頃の西永福の駅は確か地下に向かって階段が伸びていた気がする。
うすい肌色の様なタイルが並べられた駅の地下道を、傘の先をコツコツ鳴らしながら歩いた。

今の西永福駅は橋上駅になっていて、昔と登る方向が違っている。
祖母と一緒に酒を飲みながら寿司を食べた店は、ラーメン屋になっていた。
踏切りを渡ってすぐのマックはファミマになっていた。
マックがつぶれることあるんだと思って少しびっくりした。

色んなものが変わっていく。
どう変わったかもわからないくらいに。

でも、変わっていないものもあった。

祖母の家から聞こえる京王井の頭線の電車が走る音。
お土産によく買っていた角のケーキ屋さん。
法事のあと、やる事がなさ過ぎて遊びに行った公園。

そういえば、あの公園で、夏休みの2日間だけ友達になった女の子がいた。
そして公園の中にあったあの小さな家は、あの日、確かにオレたちの秘密基地だったのだ。
全然秘密じゃない、3人だけの秘密の秘密基地。

無邪気に出会い、無邪気に分かれていった不思議な縁。
今あの子はどこで何をしているのか。
そんなことに思いを馳せられるのは、大人の特権なのだということを知った。


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