閑話「まどか の外に神は無し!われら まどか の契約者!」


 市内各所で銃声が響いていた。政府軍の武器庫から奪ったM16の5.56mmの素っ気ないものも混じっているが、大部分がカラシニコフのカタカタカタッ‼というあの独特の銃声だ。
 すでにこの戦いがイラク各所で始まって一カ月以上が経つ。
 この地にかつてのカリフ制国家の再建を目論んだ彼らの組織は当初、この国の〈不信心な〉政府軍や異教徒‐クルド人自治区の防衛隊や多国籍軍との戦闘を予見していたが、こんな得体の知れない相手と戦うなど考えていなかった。
 戦況は既に悪化の一途をたどっている。自分たちは死を恐れていないがそれは相手も同じ、むしろこちらより遥かに恐れを知らず、そして冷酷だった。それは最早勇気や信仰に基づく強さとは思えなかった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?