プロット HALO Puella Magi Saga

プロローグ(前半)

まどか はどこかの軍事基地と思わしき場所に居た。
コンクリートが張られた広場、後ろには無機質な金属質の建物やかまぼこ型の格納庫があり、駐機場には様々な軍用機や攻撃機がエンジンをはためかせ発進の時を待っている。

駐機場にはダークグリーンの装甲車や軍用車、長い方針を備えた戦車が並び中には兵士たちっと十にせわしなく基地の敷地を走り回っている物もあった。

アナウンスが鳴り響き、各部隊の配置や出動に関する指示が慌ただしく通達される。

この日に備えて、多くの兵士たちが訓練を重ねこの植民星の防衛軍――統合自衛隊と地球統一政府の指揮下にある軍隊"UNSC"ーーは武装を整えて来た。

まどか もまた出撃する兵士たちと同じく小さな体に不釣り合いな自動小銃と背嚢を背負っていた。服も自分がきなれた見滝原中学校のパフスリーブの上着にチェックのスカートなどではなく、自動小銃の弾倉が入ったポーチやナイフ、コンパスに救急キットを収めたポケットが取り付けられたアサルトベストとテラフォーミングに寄り地球日本のそれに合わせた植生を持つこの惑星N4の自然に溶け込む明細をほどこされたBDU、靴もシューズではなくゴアテックスや防刃と耐衝撃素材でできた半長靴だった。


魔法少女

 多くの魔法少女は、変身アイテムであるソウル・ジェムがその名の通り自分たちの魂その物で、魔女がソウルジェムが濁りきった時に産まれる自分たちの末路とは知らずに戦っている。その状態が我々のそれより遙かな未来になっても続いている。

 この悲しい連鎖は、人類が母星を旅立ちその版図をオリオンの腕より先に広げた遠い未来においても続いていた。

26世紀の魔法少女事情

255X年 月 日 6時30分 
外縁部植民地惑星(アウターコロニー) N星系4番惑星(通称N4)ホンシュウ大陸 中部 見滝原市住宅街

 カーテンの隙間から差し込む、朝の心地良い日差しを顔に受けて、市内の中学校に通う女学生の鹿目まどか はぬいぐるみに囲まれた自室のベッドで目を覚ました。

 この日は目覚まし時計が鳴る前に目を覚ましたので、それが鳴る前に目覚ましのスイッチを切った。

 ベッドを降りると、階段を下りて、庭で家庭菜園から朝食に使うプチトマトを選んでいる父に挨拶をした。

 父から「ママを起こしに行っている、たつや を手伝ってきなさい」と言われ、母親の寝室に向かった。

 母の寝室では 3歳の弟たつや がベッドで掛布団とシーツにくるまっていた母親を小さな拳でトントントンと叩いていた。母は布団にくるまったまま起きる気配なし。

 まどか はタツヤにベッドの上からどいてもらうと、掛布団とシーツを思いっきり引きはがした。

 日光が刺ささりもがくように目を覚ます母。

 まどか は自分の学校――市立見滝原中学校の制服に、母はビジネススーツに着替えていた。

 そのまま洗面台で顔を洗い/化粧をしながら女同士の語らい。

 学校のこと――母の旧友である担任教師の様子/親友の仁美がラブレターをもらったことなど。

 途中、まどか は母親にリボンを選んでもらった。赤と黄色のどっちがいい?と。

母は「赤にしな。染めた髪の色に合ってる」

まどか の髪――染めたピンク色。彼女たちの祖先が地球上の日本列島に住んでいた時代なら学生が髪を染めるのは品の無いことだが、今の時代は普通のおしゃれ=学生や社会人を問わず女性にとって当たり前の権利。

 お互いに身だしなみを整え終わり、リビングへ。

 家族で囲む朝食。

 空中に投影された2次元スクリーンに表示されたニュース番組。

 内容ーー芸能や市内そして地表にあるほかの都市で起きた事件や事故。

 政治関係に移る。

最近の情勢=まどか が生まれる以前から続いている人類と敵対するエイリアン連合〈コヴナント〉と戦争、現在の戦況。一つの星系がコヴナントの攻撃で壊滅した、生存者は無し。

惑星自治政府の軍(=統合自衛隊)と地球軍”UNSC”との合同演習。防衛大臣並びに統合幕僚長は、「惑星の防衛体制は万全であり、いかなる事態にも対処できる」と会見で語っていたが安心できなかった。

 食卓の空気が暗くなり、まどか の母は番組を たつや の好きな子供向け番組に変えるように言った。

 朝食を終えて、家を出る詢子。まどか もそれについで家を出る。

 通学路を行く まどか。彼女の目の前に行く街並み。

 戦争が続いているとは思えない、人々の明るい笑顔。

 見滝原の街並みーー地球の日本、群馬県(N4育ちの まどか は行ったことはないし、当然どんな場所か知らない)出身者によって開拓されたこの街は現代的な高層ビルディングが立ち並ぶ一方で、先祖たちの故郷である群馬県前橋市を再現した区画もあれば、他の日本の都市や世界各国の都市を模した区画もある。

「古き良き懐古主義と最先端のテクノロジーが共存する街」ーー彼女の母はかつてそう評した。

学校の近くまで来ると、学友の さやか・ほむら・仁美と接触。
ほむら はつい最近になって転校してきた比較的新しい友人で幼なじみである さやか と仁美に比べると過ごした時間は短い。しかし、彼女とさやか は まどか にとって仁美 以上に特別な価値を持つ友人だった。ある秘密を共有する仲間でもある。

斬新な設計とも言うべきガラス張りの教室に入る。

席に座りホームルームが始まる。

担任の和子は改まった様子で「皆さんに大事なお話があります」と切り出した。

昨今の情勢に関する話かもしれない、と思い強張る一同。しかし、先生の切り出した話は思わず拍子抜けしてしまうものだった。

「目玉焼きは半熟ですか?硬焼きですか?はいっ!中沢くん‼︎」

質問をされた生徒中沢は「どちらでもいいんじゃないですか?」と返答。

先生はその答えに満足した。

どうやら、同棲中の恋人とまたつまらないことで喧嘩をしたらしい。

生徒たちが呆れていると先生は思い出したかのように、皆さんに進路相談のアンケートがあります。と、告示した。

そっちの方が先だろうと言うツッコミが出たが、天然でドジだけど察しの良いところがある まどか はきっと先生は皆を和ませようとしてくれたんだろうと考えた。

このご時世の進路相談など、選択肢の中にあまりにも気まずいものが入っているのだから。

進路相談の選択肢(正確には、高校卒業後の就職先だが)としてかなり目立つように書かれていたのが「防衛省・自衛隊」「地球統一政府軍"UNSC"」とあった。

このほかにも中学卒業後に試験を受けて入れる高等工科学校と宇宙科学アカデミーがある。

和子先生
「人類の存続が危ぶまれている昨今。自衛隊そしてUNSCは人類の未来を守ろうと、立ち上がる勇敢な人々を募集しています。あ、でも、正直このまま四捨五入して40歳とか言われるくらいならいっそ人類なんて......」

歴史基礎の時間。
場面は地球近代、日系人が過半数を占めているだけあり、内容も子供たちのルーツすなわち日本の歴史にも絡んだものになる。
第二次世界大戦、その太平洋戦線だった。

 講義中に志筑仁美の質問をきっかけに、現在の人類を取り巻くコヴナントとの戦局に類似点が見られないか?という話になる。
 歴史の教師は、確かに人類がほとんどの拠点を失っており、本土まであと少しというところまで追いつめられているという点が類似しているというが、一方で、これは人類が繰り返した多くの戦争において劣勢な側が陥っている状況は概ね同じであるとし、一方で太平洋戦争の日本に例えるなら既にサイパンの陥落に近い。
 太平洋戦争期の日本は連合国に降伏するという選択肢があり、それを選んだからこそ今の私たちがあるが、コヴナントは人類という種そのものを宇宙から根絶やしにすることを目的にしていることを考えれば降伏という選択肢は無い。


放課後、部活や寄り道、または塾や習い事に行く学生たち。

戦時中で人類が劣勢という状況にありながら、20世紀の総力戦と違い、人々は平穏な日常を過ごしていた。

まどか さやか ほむら の三人は違っていた。

三人は魔法少女として、街を周り魔女を狩る魔法少女としての戦いが彼女たちのもう一つの日常だった。

駅のホームにあった結界にて〈委員長の魔女〉と交戦し、殲滅する。

グリーフシードを無事に確保。

いつもなら、一緒に行動している先輩の巴マミとはここしばらく音信不通だった。

3人はまだまだ魔法少女になって日が浅いこともあり苦戦するが、何とか連携してこれを殲滅。
手にしたグリーフシードは穢れが強い順に使った。
 
魔女を倒して帰路に就く直後、街の各所にあるUNSCの募集ポスターや広告バーナーが目に入った。今朝見たニュースとホームルームでの先生の話が思い出される。魔女との命がけの戦いは経験していて、いつも緊張感が抜けない。初めて経験した時は、自分の周りの世界や身の回りの人々が別の世界とその住人に見えたものだ。命がけの戦いや緊張感を知らないわけでは無いが、(異星人とはいえ)軍隊を相手にした戦争は未経験だったし、考えたこともない。
 
まどか は二人にもその話を振ってみた。
 
先日から惑星首都の神浜市に向かったきり連絡が取れない先輩のマミやここのところ姿を見ていない、マミとは旧知の仲だが、今や方針の違いでフリーになっている風見野市から来た粗暴な魔法少女の杏子もそうだった。
 
直後に、噂のマミ本人から電話が来た。
 
慌てて出るまどか。会話をスピーカーにして ほむら と さやか にも聞かせる。
 
マミはただ事ではない様子で、「急いで神浜市に来て!」と連絡してきた。
 
その様子を、見守る怪しい影があった。

徴兵

行方不明になったマミを探して最後に連絡があった惑星首都の〈神浜〉市へやってきたものの、途中でUNSC海軍の制服を着た男に話しかけられる。彼は魔法少女たちのことを知っていると言い、さらには巴マミも自分たちの元に居ると話した。彼らに付いていき一台のバンに乗せてもらうも、発進した直後に男たちは防毒面を装着しまどか・さやか・ほむら の3人は意識を失ってしまう。
 気が付くと、みんな暗い部屋に転がされていた。彼女の体をゆする者がいた体をゆすられる度に「鹿目(かなめ)さん、鹿目さん」とよく知る声で自分の名前を呼ばれる。まどか は目を覚まし自分を呼びながら体をゆすった人物を見た。
「マミさん?」
さやか や ほむら も次々と目を覚ます。
ほむら
「マミさん!」
さやか
「どこ行ってたんですか?心配してたんですよ」
彼女はそう言われるとどこか申し訳なさそうな表情になった。しかし、それはどうも心配をかけてしまったことに対してではなさそうだ。
まどか
「マミさん?」
その時気づいた。
彼女はUNSCの制服を着ていたことに。
まどか は思わず尋ねた。
「どうしたんですか、その恰好?」
さやか
「まどか、回り見て」
「え!?」
暗がりの広い部屋にいたのは彼女たちだけではなかった。
他にも自分と同年齢らしい大勢の少女たちが部屋の中にいた。
みんなどうしてここに連れてこられたのか分からないようで、「ここはどこ?」っといった声があちこちから聞こえる。
みんな魔力の反応があり、どうやら魔法少女らしい。
ほむら
「私たち、誘拐されてきたんでしょうか?」
さやか
「だったら逃げるついでにお返しするまでよ!」
そこで、周囲を武装した人間たちに取り囲まれていることに気付く。
 黒いBDUにボディアーマーとフルフェイスのヘルメット。彼らが手にしているのはUNSC制式のM5自動小銃であり、 彼らの胸の紋章はUNSC海軍の物だった。
まさかここは軍の施設なのか?
 銃を持ったUNSCと思わしき兵士たちに囲まれていた まどか達は静かにするように言われて押し黙った。
 彼女たちの本来の力を以てすれば人間の兵士など敵ではないが、生身の人間を相手に魔法を使うのには抵抗があり、また相手が正規軍かも知れないとなるとどうしても混乱してしまう。
 大きな部屋の一画が照らされた。
 混乱する魔法少女たちの前に、装甲服に身を包んだ兵士と一人の幼い魔法少女が現れる。
 魔法少女の誰かがその兵士を見て言った。
 「スパルタンだ!」と。
 まどか達もその名は聞いたことがあった。地球軍に比較的新しく新設された特殊部隊の一つで、開戦より20年の間コヴナントに最も多くの打撃を与えた人類軍最強の兵士たち。
スパルタンは 語り始めた。
「私はスパルタンⅢ B-006。階級は大尉、シックスと呼んでくれ」
彼はこの惑星にコヴナントの脅威が迫っていること。そしてスパルタンは、今この惑星に自分一人しかいないため、到底惑星の防衛などままならない状況にあることを伝えた。
 また、人類全体が劣勢にあり、UNSC海軍情報部が魔法少女をスパルタンに代わる新たな戦力として魔法少女に目を付けたことを説明した。
魔法少女たちは当然反発。
だからって誘拐するのはどうなんだ!?
家に帰らないと家族が心配します!
〈魔女〉を狩らないと街の安全が!
スパルタンB-006はこの計画には高度な機密性と緊急性が求められたため、こうした手段を用い指せてもらった。また、君たちの家庭及び学校等のコミュニティについてはすでに手を打ってある。
 心配することは無い。
 また、魔女についてはこちらのMs.サトミから説明がある。
 そう言って彼と一緒に出て来た、幼い魔法少女が壇上に立った。
 
ソウルジェムの真実と魔女の正体を知って動揺する魔法処女たちに対し灯火はつづけた。
 
「でも、心配しないで。そんな運命を回避する手段を私様は発見したの!これは、かつての原爆やスリップスペースに相当する発見だよ!」
 
彼女は、《穢れ》を浄化し、なおかつそれを攻撃に転用するシステム《ドッペル・ウィッチ》について説明した。
 
 近いうちに惑星全域に機能させることになるが、今ここにいる魔法少女たちは一足早くそれを手にする機会があると。
 
 その条件が、軍に協力してコヴナントの侵略に立ち向かうことだった。
 
灯火とB-006の話を聞いた後、そのまま2段ベッドが並べられた殺風景な部屋に案内された魔法少女たち。
 
案内した婦人自衛官たちは完全武装だった。
 
明日は早いので十分に睡眠をとるように。といわれ、まどか は衝撃的な事実の開示や出来事が連続して起きたことで直ぐに寝込んでしまった。

訓練


  UNSCと自衛隊の合同駐屯地(まどか は単純に「基地」と呼んでいる)に誘拐同然に連れてこられ、さらには里見灯火という幼い魔法少女から魔女の正体と自分たちの体についてショッキングな真実を知らされた上に、一人のSPARTANから「コヴナントがこの星に迫っているから一緒に戦って欲しい」と言われた翌日。
あまりのショックに寝込んでしまった彼女は、駐屯地の兵舎にある2段ベッドで目を覚ました。
 今日あったことや灯火の話も全て悪い夢で、目を覚ませばいつもの自室のベッドで目ざめ、パパの作ってくれたご飯を食べて学校に行くんだ。なんとなく、そんなことを考えていたまどか だったが、いつもの目覚ましのアラームとは違うラッパの音が聞こえ「目覚ましってこんな音だったっけ?」と思った直後にベッドから文字通り引きずりおろされる。
 
引きずり降ろしたのは昨日案内してくれた婦人自衛官の一人だった。防弾チョッキと小銃で完全武装している。
 昨日の出来事はすべて悪い夢だったという期待も、一人のコロニー防衛軍(自衛隊)のWAC(2等陸曹)にたたき起こされ、ベッドから文字通り引きずり出されたことから打ち砕かれる。
 
その自衛官はまどかよりちょっと背が高いぐらいで、身長は さやか と変わらなかったが鍛えているらしくすごい力だった。
 
どやされるように、部屋からシャワー室に行かされる。
 
身の着のままでここに連れてこられたまどか達。WACやUNSCの女性兵士たちは少女たちに服を脱いですべてこの籠に入れるように言った。
かごは一人一人にあるわけでは無く。少女たちは複数の縦列に分けられ、列の前にかごがそれぞれ置かれていた。
流れ作業の要領で服を脱いでそのかごに無造作に投げ込まされてシャッワー室に進められる。
 
 同性でも人前で服を脱ぐのが恥ずかしいのかなかなか脱げない子は無理やり脱がされていた。(ソウルジェムに何らかの細工がされているのか、変身はできず力もセーブされていたため抵抗できなかった)
 
 まどか の番になった。ここで脱いでしまった服は二度と戻ってこないかもしれないと思い。まどか リボンは最後に外して、かごに入れず手に持っていた。
 
 そのまま個室に入り素早くシャワーを浴びて体を洗う。
 
 シャワー室から出ると思った通り少女たちの服は無くなっていた。代わりに、色が全てOD色の武骨なスポーツ用下着にまどか達の体のサイズに合わせた迷彩服と民生品と一目で分かる、まどか も見たことがあるスポーツメーカーのロゴが入ったジャージを渡された。靴は運動靴と、半長靴だった。今どきにもかかわらず紐で占めるタイプだった。
 
 WACたちから迷彩服(BDU)にを着て練兵場(グランド)に集合するように命じられる。
 
 来たことのない迷彩服や靴紐の結び方が分からずに戸惑う少女たち。
 
 分からないところはWAC達が教えてくれたがどんくさい娘は良く分からなかった。出来た娘は一足先にグランドへ向かったが、うまく切れない少女たちは部屋に残ってしまい、慌ててまだしっかり着れていないにもかかわらず、みんなを追いかけて外に出た。
 まどか は何とか さやか や ほむら 手伝ってもらいしっかりとBDUを着て靴紐を結べたが、強引に連れてこられたことで機嫌の悪い杏子は、ラフに着こなして外に出た。
 
 外では自衛官とUNSCの兵士たち(ここでは男性もかなりいた)が魔法少女たちを整列させていた。
 
 少女たちの前には昨日のスパルタンB-006が小銃を背負い、太腿(ふともも)に拳銃を吊るした完全武装で立って居た。
 まどか を始め、遅れて来た少女たちが列に加わると、B-006は全員を見まわし悪態をつくように言った。
 
「全くなんだコレは、集合と整列に時間がかかり過ぎだ。この惑星では義務教育で集団行動を習うと聞いたがお前たちはまともに受けなかったのか?おまけに何だその服装は?
その歳になって一人ではまともに着替え一つもできないのか?母親に手伝ってもらっていたのか?」
「姿勢もだらしがない!腹をひっこめろ!どいつもこいつも体だけ成長して、中身は赤ん坊と変わりがない!」
 
きつい言葉を投げつけられて、委縮してしまう者もいれば、杏子のようにあからさまに不満を見せる者もいた。
 
そんな時、くしゅんっ!とだ可愛らしいくしゃみの音がした。
 
B-006の脚が止まる。
 
「誰だ!今のは!」
 
眼鏡をかけた、気が弱くおとなしそうなショートカットの女の子が恐る恐る手を挙げた。
 
「えーと…..私です」
 
「上官の質問には『はい』で答えろ。説明はそれからだ」
 
「はい!私が、くしゃみをしました……」
 
「貴様、名前は?」
 
「はい……宮尾時雨です…….」
 
「シグレ。何故くしゃみをした?」
「はい…..えっと……寒いからです」
 
「寒い?寒かったからだと?お前は寒いからと言って待ち伏せの際に敵から身を隠すべき状況でも、『寒いから』とくしゃみをするのか?」
 
「いえ…..じゃなくて….その、はいっ!したくありません」
「されてたまるか‼寒いなら身体を温めると良い」
そう言って離れたところにある倉庫を指さした。
「あそこにある倉庫が見えるな。あの周りを一蹴して戻って来るんだ!」
「ええ!?そんなぁ........」
「命令だ。行け」
静かだが、有無を言わせない凄みのある声でB-006は命令した。
躓き転びそうになりながら、他の自衛官に付き添われて走るシグレと呼ばれた少女の後姿を見送る一同。
彼女を無視して、話を続けようとするB‐006だったが明らかに不服そうな態度で命令に従わない魔法少女たちがいたので、こう言った。
「俺の命令に従いたくないようだな。だったら俺を倒して見せろ、それが出来たら自由にしてやる。どこへでも行くがいい」
ざわつく少女たち。相手は人類最強の兵士の一人。さすがに 尻すごみする。
しかし、そこへ躍り出る少女がいた。
まどかはその少女が誰か知っていた。隣町からちょくちょく見滝原市にやって来る魔法少女 佐倉杏子だった。
「あんたを倒したら自由にしていいんだな」
「もちろんだ。ただし、君たちのソウルジェムには調整がほどこされている。固有魔法は使えないぞ」
「要らねえよ、そんなもん」
 
「アーマーの出力は比較的に最小値にした。今の俺はアーマーを見居つけていない時とほぼ同等の身体能力しか発揮できない」
そこまで言うと、スパルタンは背負っていた小銃と太腿に着けていた拳銃、肩に取り付けていたナイフを外して周囲に居た陸曹たちに渡し始めた。
 
「武器はともかく固有魔法は使えないお前たちへのハンデだ。遠慮なくかかってこい」
 
そういって、徒手格闘の構えを取る。
ストレッチのように両腕を回すと右拳で顔を護るようにし、左の拳は腰まで下げ、左足を一歩前に出した構えだった。
 基本はCQBだが、それをこの惑星の防衛軍が使う拳法を元にした徒手格闘術の影響を受けてさらにアレンジしたものだった。

対する杏子は固有魔法が使えないという条件でも怯むことはない。変身し、自分の得物である長槍を一振りすると、その矛先を突き付ける。
「舐めてくれんじゃねえか!」
「一人づつでいいのか?まとめてかかってきても構わない」
「うっせえ!アタシは自分の手でブチのめさねぇときが済まねぇんだ!」
槍を振り回し、派手な大立ち回りを演じる杏子。
それに足してB‐006は最小の動きで突きや薙ぎ払いをすべて回避する。
アーマーを身に着けているとは思えない俊敏な動きで、たちまち間合いに入ると素早く拳と肘打ち、膝蹴りを撃ち込んで制圧した。
 まどか は彼女が自分より経験が豊富で、実力で言えば巴マミに継ぐことを知っていた。それが固有魔法を使えないとはいえあっさり倒されるなんて.......。
 他の少女達も静まり返っていた。魔法少女に素の身体能力と体術で勝ってしまう人間を初めて見たのだ。
彼女たちが静かになったのを見てB-006は言った。
「少なくとも一人は骨のあるやつがいたな。どうした?他にはおらんのか?俺を倒せるという奴はいないのか?」

初陣/コヴナント襲来


出撃の直前、飛び入り参加で研究部門であるマギウスから1人の魔法少女が転属してきた。
突然の乱入に戸惑う少女たち、誰か1人ファイアチームに加えるように言ったところ鶴乃のがリーダーを務めるPFTみかづき が彼女を受け入れた。

出撃準備を詰める他の部隊に混じって、魔法少女たちもランニングパッドに駐機された降下艇に次々と乗り込んで行った。

野戦服に自動小銃を持った魔法少女たちが、各降下艇に分乗していく。
ももこ がリーダーを務めるPFTかもレ と、まどか のピュエラ・マギ・ホーリークインテット、そして みかづき が搭乗する降下艇にB-006が搭乗する。

B-006が乗った降下艇を先頭に編隊を組み飛び立つ。

遺跡調査


神浜市攻防戦

里見太助教授と共に遺跡を調査した後。

P-Ⅱの発足やマギウスの結成に至る出来事が明らかになる。

久兵衛(擬人化・AI)が味方になる。

神子柴中将→死亡

コヴナントの本格的な進行に対し、街の防衛戦は突破されてしまった。

自衛隊司令部と首相官邸も攻撃される。

自治政府内閣でも首相が死んだことから、防衛大臣の美国公秀が跡を引き継ぐ。

魔法少女たちは市民の避難と軍本隊の撤退を手伝うことになり、巴マミは殿を引き受けて死亡。

避難した市民の一部は見滝原市に。まどか達PFT‐ピュエラ・マギホーリークインテッドは意外な形で里帰りする。神浜から付いて来た魔法少女には江利あいみ がいた。そこで、さやか は記憶を消されていなかった片思いの幼馴染 上条恭介と再会、あいみ も避難者の中に居た伊勢崎隼人と再会する。

>この時 恭介は避難者のためにヴァイオリンを弾いていた。

2人とも海香の配慮で記憶は消されていなかったが、さやか と あいみ は気まずさから他人のふりをした。

 そこへ、コヴナント軍が襲撃。避難者と市民を護るために戦闘に加わる さやか と あいみ しかし、戦いの中、現場に居合わせた恭介を庇って さやか は瀕死の重傷を負ってしまう。

 駆け寄ってきた恭介に、さやか 人違いではないことを伝えた。そのまま恭介の腕の中で息を引き取ったさやか。彼女がどうして戦っているのか分からない恭介に、見ていられなかった あいみ が彼に真相――魔法少女は願いをかなえてもらう代わりに魔法を使えるようになり、彼女の願いは恭介の腕を治すことだったーーを伝えた。

 直後、あいみ は避難者のいる区画へと出向き、隼人に再開。そして、隠すことなく彼に自分の意志を伝えた。隼人は あいみ の告白を受け入れる。再開を約束したものの、また会えるか分からないので、2人は周囲の目線を振り切って暗い廃墟へと入っていった。

 しばらくして あいみ は暗がりから出て来た。息は荒く、着衣もわずかに乱れた状態で。

 魔法少女たちは二人がどこへ入って何をしていたのか気付いていたが、何も言わなかった。


一時的とは言え街から退避し魔法少女たちは部隊を再編。

時女一族やタルトたち西方自治区の魔法少女たちを加え、自衛隊は総力を挙げて街の奪還作戦〈オペレーション・ワルプルギス・ナハト(「〈ワルプルギスの夜〉作戦」)〉を決行する。

神浜市の決戦

 死への強襲作戦が計画、そして実行される。
 敵の指揮系統を破壊するため、ザーグ・ミドラィ元帥が率いる地上軍の司令部に対する斬首作戦が計画され、時女一族が投入された。
 
 首都外縁部に陸上自衛隊と海兵隊が、後世に見せかけた圧力を掛け、軍主力並びに司令部の注意が神浜市周辺に向いている隙を突いて時女一族が司令部野戦陣地に浸透した。
 
 陣中でドッペル

 コヴナント

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